【第13話】服とコーヒーとCD
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あれから取り敢えずモールの1階を散策。
どことなく良さげな店を見つけたので入ってみたが、わりかし当たりの雰囲気だ。
置いてある物も俺の趣味と合致するし、守備範囲外の物も沢山売られてあって品揃えが豊富だ。
楓も気に入ったのか、さっきから並べられたシャツを吟味している。
「お、これとか良さげだな」
俺は気に入った服を適当に手に取り、じっくりと眺める。
その中でも特に気に入ったのが、白い生地に薄いグレーのストライプが入ったシャツ。
涼しそうだし、全体的に明るく見えて俺の好みだ。
これ単体で着るのも、Tシャツと合わせるのも良い。
夏は基本的に明るめの服を着るって決めてるし、現状かなり買いの方に気持ちが揺らいでいる。
後は値段だな。普通に何万ってするやつも売られてるから注意が必要。
俺はどきどきしながら値札を見る。
4700円。
シャツにしては妥当な金額だな。これは買いだ。
「何か決まったのかい?」
「ああ結構な掘り出し物見つけてな」
「そのシャツかい?」
「結構良いと思わねえか?」
楓はシャツをじっくりと眺める。
「いいね。私も良いのを見つけたんだが見てくれないかい?」
楓は俺の方に品物を差し出す。
黒色の生地に緑の柄の入ったシャツだ。簡単に言うと俺が買おうとしてるシャツの色違い。
「良いな。なんというかお前らしいな」
「ふふ、そうかな」
楓は嬉しそうに口元を緩ませる。今日もよく笑う。
俺と楓は会計を済ました後、一旦休憩するために、近場にあったアメリカ発祥の有名コーヒーチェーン店に入った。
店内は雰囲気だけは仕事出来そうなサラリーマンや、新しい物だけが好きそうな学生達で賑わっている。
初めてこういった店に入った俺は、メニューに表記された呪文のような文字列に困惑を隠せない。
何でサイズの表記が違うんだ。ショート、ミディアム、ラージでいいだろ。
何だよグランデって。聞いたこと無いし多分英語ですらないな。無駄にオシャレぶりやがって。デザインを意識し過ぎたあまり利便性が死滅したデザイナーズマンションみたいだ。
助けを求めようと楓の方を向くが、どうやら楓もよく分かっていないらしく、目を点にしていた。
後ろにも数人並んでたので早く決めなければならず、取り敢えずで一番安いコーヒーのグランデサイズを注文。楓も同じやつを頼んだ。
結果、至極普通のコーヒーが出てきた。
俺と楓は席に座り、コーヒーを口に運び一息つく
「おっ結構いけるなこれ」
聞いたことない名前のメニューだったし、変な味だったらどうしようかと思ったが。
苦過ぎず、コーヒーをあまり飲み慣れてない人でも飲みやすい味だ。
正直いつも飲んでるインスタントよりは美味しい。楓も美味そうに飲んでいる。
「良い買い物をしたね」
「だな。最初はビビったけど普通に美味いし」
まあこれ一杯で700円くらいするし、美味くなかったら困るんだけども。
「この後どうする?」
完全ノープランで来た上、唯一の目的だった夏服の入手も達成してしまった。
「そうだね。まだ帰るのには早いし、モール内を一通り見て周らないかい? 昼食も済ませたいしね」
スマホで時間を確認してみたが、まだ十二時にもなってないし確かに帰るには早い。
昼飯か。ここだとパスタ屋に蕎麦屋。まあ困ればなんでも揃う魔法の空間、フードコートに行けばいいし。
フードコート作ったやつは天才。何かしらの賞貰うべき。
「じゃあ二階と三階も見てみるか。四階はフードエリアで五階からは駐車場だし。全部周る頃には丁度いい時間になってんだろ」
「分かった。これを飲み終えたら行こうか。お店も混んできたしね」
楓はコーヒーを息を吐いて冷まし口に運ぶ。
届いてから結構経ってるし、だいぶ冷めてるはずだけど。楓はもしかしたらすごい猫舌なのかもしれない。
しばらくして全部飲み干した俺達は、カップをゴミ箱に捨て外へ出る。
そのままエスカレーターに乗り2階へ向かう。そこには服屋がずらりと並んでいた。
服屋しかないのかここは。
「色んな服が置いてあるね」
「お前まだ買いたい物とかあるのか?」
「そうだねえ。夏服は買ったし後は、ん?」
何か見つけたのか、向こう側をじっと見ている。
「ねえ慶見てみてよ。あそこにCD屋さんがあるよ」
「CD屋さん?」
楓の言う方を見ると、そこには確かにCD屋があった。
今思えばこいつ軽音部だったし音楽好きなんだろうな。
俺も結構音楽聴くし、上手いこと行けばここで共通の話題ができるかもしれない。
「行くか?」
「いいのかい?」
「俺も気になるからな。最近CD買ってないし」
サブスクが浸透してからというもの、高くてかさばるCDはコレクション目的以外一気に買う機会がなくなった。
もしかしたら未だサブスク解禁されてないレア物が手に入るかもしれないし、ここであの店に入るのはメリットまみれだ。
「じゃあ行こうか」




