勉強会と 6月
勉強会当日
鈴城家
「行ってきまーす」
「どこ行くの?」
「おい凛音、昨日愛華が図書館で勉強してくるって言ってたでしょ」
「あ!それ今日だったんだー」
「兄さんたち、午後から結愛たちくるから一部屋空けといて〜」
「了解ーいってらっしゃい」
「改めて行ってきまーす」
諏訪家
「お母さん,愛華たちと図書館で勉強してきまーす」
(親に変な誤解を生ませないようにするために,柊羽くんたちも来ることは伝えてある)
「いってらっしゃい」
「おはよー愛華」
「結愛じゃんおはよー」
「カバン大きいねー」
「うん。一応全教科入れたから」
「なるほどね」
ポキポキ
「ん?愛華、今、LINE鳴ったよー」
「本当だ!皐月ちゃんからだ『愛華ちゃん、急でごめんだけど、前言ってた件明日でもいい?一応お母さんと妹はOK出したから』だって〜」
「えーっと、兄貴はこれか!」
《前話してた件明日が良いって...行ける?》
《OKって伝えといて》
《了》
「兄さんは良いって」
「良かったね皐月ちゃんの妹さん」
「うんうん」
《兄貴に聞いたらOKだって〜》
《本当に!じゃあ明日の13:00〜で良い?》
《良いよー皐月ちゃん家どの辺?》
《私ん家はーメモリーセンターの真正面だよー》
《ありがとう、兄貴に伝えとくねー》
《兄貴、明日の13:00〜でメモリーセンターの真正面らしいよー》
《ありがとねー大体場所分かったわ》
「やっとついたねー」
「やっぱちょっと距離あるねー」
「うわー、もう列並んでんじゃん」
「愛華ちゃーん、結愛ちゃーん」
「あっ、あれ柊羽くんじゃない?」
「本当だ!」
【柊羽くーん】
(手を振る彼はやっぱりあざとい)
「ここよく並ぶって聞いてたから早めに来てたら先頭取れた...」
「本当に助かった...この列を見た時、絶望したから」
「うんうん」
ラーイン
「あっ,悠真からLINEきた『今駐車場に車を停めました。これからそっち向かいます』だって〜」
《列の先頭にいるから見つけてね》
「結愛、楽しみだね」
「う、うん」
「人見知り起こしそう?」
「分かっちゃった?」
「表情ですぐに分かったよ」
「お待たせー」
「噂をすればじゃん」
「間に合った?」
「ギリセーフだよ!今開くところだから」
「じゃあまず愛華ちゃんが先に行って予約して,俺らはあと合流でいい?」
「愛華,番号わかったらすぐそっち行くね」
(あれ?いつもより呼吸がしにくいような...気のせいか...)
「オッケー先行ってまーす」
「あ,そっかここはほぼ初対面か!」
「ほぼってどういうこと?」
「結愛ちゃん、内科検診の時に来た人が、その隣にいる悠真だよ!」
「えっ,気づかなかった。諏訪結愛です」
「よろしくね結愛ちゃん。俺は雪平悠真です」
「よ、よろしくお願いします」
ブゥーブゥー
《みんなで学ぶ部屋の3に来て》
《了解》
「みんなで学ぶ部屋の3だそうです」
「愛華、お待たせ」
「じゃあ時間ないし早速始めよー」
「席ここでいい?」
「隣は悠真くんで!」
「オッケー」
「じゃあ結愛ちゃんと俺ってことだよねー」
「そうそう」
「数A苦手だから分かんないところあったら聞いてもいい?」
「いいよー」
「悠真くん、英語苦手だから教えてほしい」
「どこが分かんない?」
「ここだけど...」
「あーその文法難しいよね。ここは分かる?」
「うん」
「じゃあ,ここを入れ替えて,この動詞を過去形から原形にすれば良いよ!」
「本当だ!やっとできた。ありがとう」
「うーん」
「どこか分かんないところある?」
「ここが...」
(今まで自力でやってたから人に教えてもらうのに少し躊躇いがあるんだよなー)
「あーこれねーここまでは分かる?」
「うん」
「じゃあ、ここの数値をこの公式に代入すれば良いよ!」
「ありがとーやっとできた!」
といった感じであっという間に2時間が経過した
「じゃあ、愛華ちゃん家行こっか!」
「しまった!うちらバスで行こうかと思ったけど次のバス30分後じゃん」
「俺の車に乗ってく?」
「良いの?」
「やったー!」
「柊羽くん、そこ喜ぶとこ?」
「言われてやんのー」
「てへへ」
(みんな賑やかだなー)
(やっぱり呼吸しにくいかも)
「ゼェー」
「じゃあ愛華ちゃん前で柊羽くん運転でもいい?」
「結愛がいいなら私は良いよ!」
「俺も」
(えっ,どうして私を隣に選んだのだろう?)
「柊羽くん、結愛ちゃん家まで向かって」
「オッケー」
「結愛ちゃん、こっち頭にして横になれる?」
「はい」
「息苦しさとかある?」
「さっきちょっとだけ息苦しかった」
「微妙に喘鳴があったよね」
(だからこの席配置にしたのかー)
「このまま聴診しても良い?」
「お願いします」
「やっぱり喘鳴あるね」
「吸入の薬持ってる?」
コクッ
「この中に入ってる」
「これ?」
「はい」
「一回体起こすよー」
「このまま吸入しちゃって」
コクッ
「愛華ちゃん,結愛ちゃんの親と連絡取れる?」
「何伝えれば良い?」
「結愛ちゃんが喘息を起こしたことと,今から結愛ちゃん家向かってることを伝えてほしい」
「オッケー」
《結愛が、喘息を起こした》
《今どこにいるの?》
《そっち向かってます》
《着いたら連絡してー》
「とりあえず伝えました」
「ありがとー」
「落ち着いた?」
コクッ
「喋りにくい?」
コクッ
「スマホ借りても良い?」
コクッ
「ありがとー、俺の連絡先を追加しといたから、喋りたいことをここに入力しても良いよ」
《今日、みんなで集まった時から呼吸がしにくいと感じてたけど、なかなか言い出しにくくて、気づいたら5年ぶりくらいに喘息の時の咳が出てて,どうしたらいいか分からなくて...》
《このまま何もできないんじゃないかって怖くて》
《でも,咳が落ち着いたから、少し安心できた》
《ありがとう》
《こちらこそだよ》
《この毛布かけてほしい》
「これで良い?」
《ありがとう》
「グスッ」
「もう大丈夫だからねー」
「落ち着くまでこのままでいよっか」
「着いたよー」
「じゃあ、愛華ちゃんと柊羽くんで,結愛ちゃんのお母さんに今車で休んでることを伝えて車に戻って来て、そしたら俺が説明に行って今後の方針について話すね」
「結愛ちゃんが落ち着いたら、一緒に中に入って来て」
【オッケー】
「愛華ちゃん、結愛は?」
「落ち着いて,芽衣さん」
「織元です。お久しぶりです。一回中で説明します」
「分かったわ、中入って!」
【お邪魔します】
「喘息の症状が出たのは、愛華からの説明があったと思いますが、以前話した専門の人が同席していまして,結愛ちゃんが持っていた吸入の薬を使ったことで症状は落ち着いています」
「担当した者と今変わるので、詳しいことは彼に聞いてください」
「分かりました」
「初めまして、雪平悠真です。結愛ちゃんが持っていたこの薬を吸入させて、とりあえず呼吸が落ち着いたので,今は移動して来た車の中で休ませています」
「久しぶりの発作だったので,愛華ちゃんから聞いた時に今後どうすれば良いのかと思って...」
「できるのであれば、専門の方に見てもらいたいと思っていたんですけど、結愛が人見知り起こして上手くいかなかったら...ってなっていたので」
「結愛が人見知りを起こさないなら、雪平先生に見てもらいたいんですけど...」
「診察の日程はいつが良いとかありますか?」
「18:00〜で良ければ、明後日でも良いですよ」
「それでお願いしても良いですか」
「はい。このまま診察予約入れときますね」
「じゃあ、今後も結愛をよろしくお願いします」
その頃
「そういえばさー、結愛の家のなんだっけ...あっ!ミーティングルーム借りれないかな?あそこなら広いし」
《たぶん良いと思う》
「ただいま」
「結愛、おかえり」
「ちょっと先にうがいさせてきますね」
「お願いします」
「芽衣さん、あそこのミーティングルーム今から借りても良いですか?」
「いいよー、好きに使って!」
「ありがとうございます」
《やっぱり、結愛の家で勉強するねー》
《分かった!凛音には俺から伝えとくねー》
「本来の日程と変わるけど良いの?」
「怜於兄さんの許可もらったから」
「なら安泰だね」
「何かあったら家すぐ隣だし」
「えっ、どういうこと?」
「私の家、結愛の家、柊羽くんの家って並んでるから」
「なかなかすごいことだね」
「お待たせー」
「じゃあ、勉強の続きをしよっか!」
ピンボーン
「誰だろう?」
「あ、凛音くんと怜於くんじゃん!」
【お邪魔しまーす】
「よ、愛華」
「なんでいるの?」
「差し入れ持ってきた」
「ありがとうございます」
「俺らの秘書だった柊羽?」
「はい、お久しぶりです」
「えっ、秘書?」
「やっぱり結愛ちゃん、そこ気になるよねー」
「同じ中学で怜於が生徒会長で、俺が副会長の時に、柊羽が書記官やってて、そこから今の関係になった」
「へぇーそうなんですね」
「で、奥にいるのが大学でイケメンエリートって呼ばれてた悠真だろ」
「お久しぶりです伝説のシンクロコンビのお二方」
しばらく沈黙の時間が流れた
「あんま長居しても悪いし凛音帰るよ」
「分かった」
「愛華,いつもの時間に夜ご飯食べるから、それまでには帰ってきて」
「あいよー」
「お腹空いたし、あれ食べよっか!」
「はい」
「はい」
「結愛ちゃんは食べれるだけで良いよ」
「はい」
「あ、もう18:00だ帰らないと兄貴たちに怒られるから帰るね」
「バイバーイ、愛華」
「じゃあね結愛」
「じゃあ俺も帰るねー」
「バイバーイ、柊羽くん」
「さっき、結愛ちゃんのお母さんと話していて,明後日ってテスト初日だけど、その日の18:00〜診察したいって話をしてたけど良い?」
「うん」
(考えただけで緊張しちゃう)
「顔がこわばってるね、緊張しなくて良いよ」
「分かっちゃいました?」
「うん」
「悠真くん、まだ時間あります?」
「余裕あるよ!」
「私の過去の話をしても良いですか?」
「良いよ!」
「私が信頼できると思った人しか話してないんだけど、約1年前にこの事件があったのはご存知ですか?」
「あ、この事件ねー、この時の被害者の子にもしあったら、恐怖心を取り除いてあげたいと密かに思ってたんだ」
「実は、この事件の被害者が私なんです」
「そうだったんだ」
(だいぶ涙目になっているなー、背中だけでもさすって落ち着かせよー)
「この話はなかなか辛いからあまり話していないけど、愛華、柊羽くん、凛音さんと怜於さんには話したし,私が悠真くんと初めて会った時になんとなく伝えた方が良いと思ったから今から話す」
「無理のない程度で,限界を感じたら途中で話すのをやめてもいいからね」
「ありがとうございます。......ということがあって今日に至るって感じです」
「話してくれてありがとう」
「落ち着くまでこのままでいよっか」
コクッ
「辛いことを思い出させちゃったね」
「そんなことないです」
「落ち着けたね」
「じゃあまた明後日」
「明日じゃなくて明後日」