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今から始める、生徒会革命術!  作者: こいこい
1/1

~これで君も生徒会!~

生徒会。それは、学校内における生徒の代表機関であり、希望。学校の選ばれし者達が集まるその場所は、時に賞賛を、時に尊敬を集め、生徒だけでなく先生からも一目置かれる存在となっている。

 そして今、俺、桐島透はそんな生徒会の活動場である生徒会室の前に立っていた。 

 「―――――」

 「―――――」

 中では何やら話し合いが行われているようだ。その内容は分からないが、ドアを通して伝わるその熱量に俺は圧倒されていた。

 たかが一歩、されど一歩。俺は決心し、中に入る。

 ギィィと音を立てドアが開き、中の様子が徐々に明らかになってくる。

 この熱量、さぞ重要な話し合いが行われて・・・

 「だーかーらーっ、私は親善パーティーはプリンがいいっていってるじゃん」

「いやいや、ここはやはり王道のケーキだろう。いくら君が反対しようとも、これだけはゆずれないな。」

 「王道とかいって、本当は自分が食べたいだけでしょ。このいやしんぼ!」

 「何だって。それを言うなら君だって、さっきから自分の欲を隠そうともせず、見苦しいぞ。」

 「むぅぅぅ。」

 「そんなに睨むなよ、みっともない。全く君は昔からーーー。」

 バタン。

 俺はドアを閉め、俺がここに来ることになった原因である友人に振り向いた。

 「どういうこと?」

 友人は苦笑いしながら明後日の方向を向く。

 はぁ、なんでこんなことになったんだ。

 俺はここに来ることが決まった約十分前のことについて考えた。

 「おーい、透。ちょっと話いいか。」

 「何か用?もうすぐ帰りのHRだから手短に頼む。俺は帰りの準備が遅れて皆から注目されるのはごめんだぞ。」

 春風が気持ちいい今日この頃、俺は昔からの友人、いわゆる幼馴染みである小鳥遊優に話しかけられていた。

 優は比較的整った顔立ちをしており、持ち前の明るい茶髪も相まってとても明るい印象を受ける。また、生徒だけでなく先生からの信頼も厚く、悪い噂などは一切聞かない。

 つまり陽の者だ。

 「で、何のようなんだ。」

 「その用についてなんだけどさ・・・お前、生徒会に来る気はないか?」

 ・・・はい?

 一体何をおっしゃっているので?

 「お前は、僕が生徒会役員になったのは知っているだろ?」

「あ、ああ、一応な。」

 「実は生徒会役員の人数が足りなくてさ。本来なら六人は生徒会役員として必要なんだけど、今年はたまたますくなくってね。十分な人数が集まっていないんだ。」

 「つまり、その空いた枠に俺が入れ、と?」

 「まあ、そういうことになるね。今すぐに決められないのなら、せめて見学にきてほしいな。」

 いやいやいや、嘘だろう?

 俺はいたって普通の男子高校生だぞ。友人つながりといっても、優ならもっと沢山候補がいるだろうに。

 「他に候補はいなかったのか?優なら俺よりも生徒会にふさわしい友達がいるだろ?」

 「いや、何言ってんだ?お前以上の適役なんていないよ?」

 「!!」

「おーい。そこの二人共。帰りのHRを始めるぞ。さっさと席に着け。」

 このクラスの担任である女先生の声で我にかえった俺は、はっとして周りを見る。

 どうやら未だに席に着いていないのは俺と優だけのようだ。

 優もそのことに気づいたようで、少し気まずそうに頭をかいた。

 「じゃあこの件よろしくな。」

 優は去り際に片目をパチンと閉じ、そう言い残して去って行った。

 はあ、男のウィンクなんて需要ないんだよ。俺はそう考えつつも、すぐに思考を戻し、優に持ちかけられたことについて考えを巡らせる。

 「おーい、桐島君。あとは君だけだぞ、おーい・・・私って人気ないのかな。おーい、桐島くーん。おーい。」

 俺はそれから、近くの人に声をかけられるまで、俺に呼びかける先生の存在に全く気が付かなかった。

ああもう、結局目立っちゃったじゃんか。


 「――さてもう一度聞くけど、どういうこと?」

 俺は、目の前で目をそらして苦笑いしている幼馴染みに質問をする。

 場所は先ほどと同じ生徒会室前の廊下。高校一年の教室にも繋がっているここは、放課後ということもあって、辺りは人一人いない。

 「いや、どういうことって聞かれてもなぁ・・・何かおかしいところなんてあったか?」

 あくまで知らぬ存ぜぬを貫こうという優のその姿勢に、俺は頭に青筋を浮かべた。

 「じゃあ言わせてもらうけど、あの会話は何?俺は、お前が見学だけでもと言うからここに来たんだ?なのになぜ生徒会室で親善パーティーの話し合いが行われている?生徒会は今、役員が不足しているんでしょ?親善パーティーについて話し合っている場合かな?」

優はゔっと言葉を詰まらせる。

 「いやだって今の生徒会って・・・」

 「おや、誰かいると思えば小鳥遊君じゃん!ということはその隣にいるのが例の子?」

 優が弁明を試みようとすると、急に生徒会のドアがバッと勢いよく開いた。

 ドアを開けたのは、先ほどまで生徒会室で討論していた男女の内の女性の方だった。

 その美しい黄金色の髪は肩の辺りで整えられており、その口調も相まってとても活発な印象を受ける。瞳は大きく、見る人の意識を奪い取るかのような美しさを讃えている。目鼻立ちも整っており、十人中十人が彼女のことを美しいと賞賛するだろう。

 俺がその美しさに見とれていると、俺の横から声がした。

 「はい。と言っても、まだ見学の段階までで、入るとは実際に決まっていないですけどね。」

 「うんうん、上出来上出来。じゃあ立ち話も何だし、あとは実際に中で話をしよっか。」

 そう言うと、彼女はグイッと俺の手をつかみ、生徒会室のドアを開ける。俺が思わずドキッとしてしまったのは、仕方のないことだろう。

「さあさあ、早くおいで。私たちは君を歓迎するよ!」

半ば強制的に生徒会室に入った俺は、、自分の目にうつった光景に驚く。

そこは見渡す限りのゴミ屋敷だった。

中身がパンパンになったゴミ袋は数知れず、足の踏み場が無いほどではないが、元々の生徒会がそれほど広くないこともあって、生徒会室自体には窮屈な印象を受ける。

俺は覗いただけでは分からなかった生徒会室の惨状に口をひくつかせることしかできなかった。

「新しく来た君には少し窮屈に感じるかもしれないけど我慢してね。片付けが追いついていないんだ。」

先ほどの少女が可愛らしく舌を出し両手を合わせて、ごめんのポーズをする。

いや、さすがにごまかされませんよ。可愛いけど。

俺がそう思っていると、奥の机の上で両肘をついている男が目に入った。

「こちらからも謝罪する。幾分、前代生徒会がかなりずさんでね。今週中に掃除する予定だから今は我慢してくれ。」

その男は奥にある教職員が使うような灰色机の席に座っていた。男は比較的長身だが痩せすぎずスラッとしている。上背もあり、顔立ちもキリッとしているため、どことなく真面目そうな印象を受けた。灰色机は見たところ一つだけだが、その前に長机が二つほど置かれていることから、灰色机の場所はいわゆる「お誕生日席」のようになっていた。

と言うことはつまり、この男は・・・

「君とは初めましてだし、まずは自己紹介といこうか。僕は高校二年生徒会長の真崎達哉だ。これからよろしく頼む。」

やっぱり生徒会長殿でしたか。

なんかそんな雰囲気あるもんなぁ、と思っていると、いつの間にか俺以外の二人が長机に着いていた。

え、立ってんの俺だけ?

さすがに一人はつらいので、俺は優の隣に座ることにする。

「よし、じゃあ見学がいることだし、自己紹介をしていない二人は彼に自己紹介しようか。小鳥遊は一応彼と面識があるらしいが念のため君もしてくれ。」

すると、先ほどの女性が勢いよく立ち上がった。

「はーい。まずは私から自己紹介するね。私の名前は海星琴美。生徒会での役職は女子生徒会副会長だよー。高校二年生だから君にとっては先輩かな。何かあったら私に相談してね!あ、恋愛相談とか大好きだから、もし恋の悩みとかあったらウェルカムだよ!」

「君に誰かの相談役が務まるとは思えないんだか。」

「ひどーい。これでも成績は良いんだよ。」

「成績と精神年齢を結びつけるあたり、まだまだ子どもだな。だいたい成績がいいとと言っても、体育と数学だけだろう?前回の定期テストの結果を忘れたか?現代文なんかは特にひどかったな。確か・・・」

「しーらーなーいー、しーらーなーいー。」

なんだろう、既視感があるぞ。

二人はいつもこうなのか?

「はは、そうだね。生徒会にいると一日に一回はこの光景を見るかな。」

「勝手に人の考えていることを読むな。」

まったく、これだからコミュ力お化けは。俺がジト目で優を見ると、優はそれを軽くいなして立ち上がった。

「じゃあ次は僕の番かな。知っていると思うけど、僕の名前は小鳥遊優、生徒会では監査を担当しているよ。今のところは唯一の高一かな。改めてよろしくね。」

優が手を差し伸べてきたので、それを握り返す。

「さて、こちらの自己紹介も終わったことだし、次は見学の君にも自己紹介をしてもらおうか。」

「はい。」

俺は立ち上がり、他の人に目を向ける。

「この度生徒会に連行され「ん?」・・・いえ、見学することになった桐谷透です。生徒会に関しては全くと言って良いほど今まで関わりが無かったので、先輩方には御世話になります。」

「え、僕にはお世話にならないの?」

一通り言い終えると、俺は元の席に座り直した。

なんだ隣、ブツブツうるさいぞ。

「二人は仲が良いんだな。」

「はい。」「いいえ。」

会長の質問に二人同時に反応してしまう。

くっ、不覚。

そんな俺たちの様子に会長はフッと笑みをこぼすと、一変して真面目な顔つきに戻し、正面に向き直した。

「ではこれからの生徒会の予定について話そうか。今、生徒会には四人の役員が在籍しているわけだが・・・」

「四人?」

あれ、ここにいる役員は三人じゃ・・・。

「ああ、桐島には言っていなかったな。実はここにいる三人に加えてもう一人、男子副会長がいるんだ。少し・・・いやかなり変わったやつだが有能ではある。今は少し一身上の都合でここにはいないが、いずれ会うかもしれないから覚えておいてくれ。」

「分かりました。」

そういうことだったのか。なるほど納得だ。

俺たちが通うこの政進学校は中高一貫校であると同時に、県下で一位、全国でも有数の偏差値を誇る学校だ。故に生徒会役員も高校三年生の受験勉強に支障をきたさないよう、一学期に、高校一年生から三人、高校二年生から三人の計六人が選ばれる。

道理で人数足りないと思った。

・・・ん?

いや、まだたりないよな?

生徒会の定員が六人なのに対して、男子服生徒会長をいれても、四人しかいないじゃん。

「あとの二人はどこにいるんですか?」

俺は生徒会長にその疑問を投げかける。

すると、生徒会長はバツの悪そうな顔をした。

「あとの二人は・・・空席だ。」

「えっ、一人ならともかく二人って・・・大丈夫なんですか?」

「確かに生徒会役員の定員は六人だが四人でも仕事は十分回る。別に六人でないといけないという校則があるわけでもないし、問題ないだろう。」

「そうなんですね。」

「さて、桐島の疑問にも答えたことだし、本題に入るぞ。」

すると生徒会長は机の引き出しから何やら大量に積み重なった書類を出した。

「生徒会はこれから、生徒会誌の校閲の校閲期間に入る。」


こんにちは、放課後デイズメンバーその2です。今回はこれが処女作ということで掲載させていただきました。自分学生(寮生)でなかなか投稿するのが難しい状況にあるんですが、これからもがんばって投稿し続けるので、どうか応援よろしくお願いします!

ちなみに私は現生徒会役員で、この作品は私の経験をもとに書いています。生徒会のリアルな現状を皆さんにお届けできたらと思います。

改めて、応援よろしくお願いします。


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