第93話 思い出を力に
無限のD(インフィニティD)状態のミリアは黒剣を片手で構え、異形化したサウルを眺める。
赤黒いオーラが全身に行き渡り、ミリア自身も人間を離れ、怪物化している状態である。怪物と対抗する為には、怪物の力が必要だ………。広間中、赤黒い熱圧による(魔)の雰囲気が広がり、まるで人が踏み入れてはいけない世界だ………。
───全てを………復讐……
王国を両親、憎しみ、俺は………。
異形化したサウルは(魔の宝玉)の能力により引きずり出された記憶の一部を言葉にし、変異によって肥大化した両腕を上げ、両爪を構えて戦闘態勢。
獣ような低い声。ギラリと鋭い眼光を光らせ、無限のD(インフィニティD)状態のミリアを睨む。
理解せよ………我の名は■■■■■■
汝の魂を我に捧げよ………ミリア・ミア・シュバルツ………。
Dの誘いに、ミリアは無視。
Dの力に支配されない為、何とか意識を整える。
───双方の赤黒い熱圧がバチバチと衝突し、雷流を発生させ、空気中に赤黒いチリがキラキラと光り、地鳴りを響かせ、充満。
そして………雰囲気を壊すように、動き出す………。
「ヲヲヲヲヲヲヲッ!!」
異形化したサウルは牙を晒し、咆哮。
そして肥大化した両腕の両爪を広げ、飛び掛かる。次に右腕を伸ばし、無限のD(インフィニティD)のミリアに狙いを定め、大爪を振るう。
しかし空振り………大爪が空を切る。
無限のD(インフィニティD)のミリアは異形化したサウルの後方、左斜めの位置に移動。同時に………音さえも置き去りにしたような斬撃音が響き渡り、赤黒い炎を燃え盛せた黒剣を片手で掲げる。
5体の漆黒の聖職者は一斉に赤黒い炎を発生させて消滅した。
───ギロリ………と、異形化したサウルは無限のD(インフィニティD)のミリアを睨み、歯ぎしり音を響かせる。
捧げよ………汝の魂を我に………
汝は我、我は汝に………そうすれば全てを………
無限のD(インフィニティD)状態のミリアの心の中、Dの声が響き、誘ってくる。
奴はミリアの魂が欲しいらしく、何度もミリアを誘う。もし受け入れてしまえば魂は隷属され、支配される。
ミリアは意識を整える………。奴に魂を支配されないため、無視。しかし、僅かに思い浮かぶ………それは小さい頃に過ごしたアンゼシカとの思い出だ。もしDの誘いを受けてしまえばあの頃の日常を取り戻せるのではないか………と、思ってしまう自分がいる。
(アンゼシカ………お姉様………)
無限のD(インフィニティD)状態のミリアはアンゼシカとの楽しかった記憶を思い出し、意識を整える。
奴の誘いに、屈してはダメだ………。




