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第86話 謝りあう2人



 体調を整えてひと休みした後、2人は通路を歩いていた。すると、サウルは頭をポリポリと搔き、ミリアに対し、申し訳無い様子で口を開く。


「悪い、さっきは嫌な事に言ってよ………」


「いえ………身体は大丈夫ですか?」


 ミリアはサウルの謝罪を受け入れ、先程の体調不良について尋ねる。


「まぁな………アンタ達と会う前、仲間に裏切られり、親を殺されたりして………少し神経質なっていたかも知れない」

  

 と、サウルは何気なく自身の過去を説明する。

 えっ………ミリアはサウルの壮絶な過去に、思わず………。


「そんな事が………何も知らずにすいませんっ」


 ミリアは頭を下げ、謝る。だからサウルは人を疑う、少しでも観察を怠れば裏切られた。そんな場数を歩んできた彼に、自分は何て事を言ってしまったのだろう………。

 

「おいおい、こっちが先に謝ってるんのに、何で謝る?………つーか、もう止めようや。お互い謝り合うのは………」


 サウルは陽気なセリフ。壮絶な過去だったが、それを経験してきたからこそ今の技術がある。それに先に悪い空気を作ったのは俺だし、自分にも悪い所はあり、それに対し謝り合うのはキリがない。ここはお互い気にするのは止めた方がいい。


「分かりました。まずは皆と合流しましょう」


 ミリアは嫌な雰囲気を打ち消すように、一言。


「そうだな………あと、この遺跡には霊体が働いている。おそらく俺やアンタが苦しみ出したのは、霊体の魔力が頭に入って嫌な記憶を思い出した。そんな所だな………」


 サウルは簡単に説明。大抵の遺跡には古代の霊体が漂っている。その霊体が遺跡に入って来た者の心に入り込み、嫌な記憶を思い出してしまう。

 過去に何度か遺跡に入って、取り憑かれたように苦しむ仲間を見た事もあり、取り憑いたのは悪霊で最期は干からびた状態で死亡したり、良くて精神がぶっ壊れて精神病院送りになった者もいる。



 ★★★★★★


 しばらく歩いていると通路側には岩石の像がズラリと並んでいた。主に遺跡を守る番人役として置いてあるのだろう。


 ズラリと並ぶ岩石の像を眺めながら歩き進むミリアとサウル。松明の火に照らされた岩石の謝罪の全身は、今にも動き出しそうで不気味である。


「ま、ここは前向きに捉えて遺跡ツアーと思えばいい」


 サウルは陽気に言った。

 

 遺跡ツアーね………。と、ミリアは困惑し、苦笑い。

 盗賊ならではのジョークなのか………サウルのノリに返す言葉に困るミリアである。


(ヤバい、スベってしまったか………)


 また変な雰囲気を発生させてしまい、サウルは反省するのである。


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