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第84話 ミリアとサウル



───トラップは転移型の魔法だった。

 発動した詠唱陣に飲み込んだ冒険者達を別々の場所に転移する仕掛けである。移型のトラップで良かったものの、床が抜けたり、吊り天井が発動したり、入口が閉まって毒ガスが噴出するよりは全然マシだ。

 

 なお、冒険者ギルドにて死亡率が多いのは断トツでトレジャーミッションであり、トラップに引っ掛かって死亡したり、強いモンスターを召喚されて戦死した者もいる。



───〈とある空き地〉───


 地面に詠唱陣が描かれ、ミリアが空間転移してきた。


「あれ、ここは?」


 辺りを眺めるミリアは状況を確かめる。空き地の壁には火が灯された松明で辺りを照らす。

 すると………空き地の入口からコツコツと響き渡り、不気味かつ渇いた足音で近づいてくる。


「誰かいるのか?」


 空き地に入ってきたのはサウル。 


 ★★★★★★


───とりあえず、ミリアはサウルと合流した。

 2人は石造りの通路を歩いていた。暗闇が広がる通路、サウルはバックから松明を取り出し、灯を点して通路中を照らす。


「まぁ、転移型のトラップで良かった」


 サウルは安堵の様子。トラップに引っ掛かった時は、命を落とす覚悟をした。


「すいません、私が勝手に動いたせいで」


 ミリアは謝る。


「今回は命あっての物種だ、こーゆー依頼は命を落とす事は珍しくない。今の場面だと吊り天井、硫酸が溜まった落とし穴、あとは閉じ込められて毒ガスなどが様々だ………今度から気をつけなよ、仏になりたくなかったらな」


「……………はい」


 サウルの涼しい言葉にミリアは表情を青ざめ、小さく返事。なお、サウルは過去に他の盗賊者達とトレジャーミッションをした時、こんなトラップに引っ掛かった事もあり、仲間の死を見てきている。

 ミリアは決心した、トレジャーミッションはもう受けない。いかに普通にモンスターの討伐依頼が優しいか………。


「とりあえず、軽く行こうぜ。まずは他のメンバーと合流しないとな………」


 サウルは言った。


───通路中には不気味な石像が並び、壁画が描かれている。何やら悪魔と武器を持った人間達が争い、そんな物語を現した壁画である。

 

 ミリアは興味深く壁面に手を触れる………。


───ッ!!


 ミリアの頭の中、何かの光景が流れ込んできた。


 上空には紅の雲。灰色の大地には無数の戦死体が転がり、1人の戦士が光り輝く剣を構え、前方に立ちはだかる黒い異形に立ち向かう。そんな光景である。


「ハァ………ハァ………ハァ…………」


 ミリアの額からは冷や汗。気持ち悪く息を切らし、胸を押さえて立ち止まる。


「おい、大丈夫か?」


 サウルは駆け寄り、伺う。


「すいません、少し酸欠しただけです」


 

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