第83話 トラップに掛かるメンバー
皆は石造りの通路を歩いていた。デビッドが唱えた明り(ライティング)の魔法により、通路に灯りが広がる。壁と天井、地面は古びており、ツタが至るヶ所に行き渡る。空気中、灯りに反射した土埃がキラキラと充満し、小さい虫やネズミがチョロチョロと動き回る。
「きゃあ、虫がっ」
ミリアは壁にカサカサと動き回るムカデにビックリし、アンゼシカ(真美)に抱きつく。
アンゼシカ(真美)は恥ずかしい表情を浮かべ、頬をポリポリと搔き、口を開く。
「ミリアさん、あまり引っ付かれると身動きが取りにくいんですけど?」
乳房を上手く当ててくるミリアにアンゼシカ(真美)は困惑。好かれているのはありがたいが、少しは節度を弁えて欲しいのが本音である。
「だって困惑するマスク・ド・a様はそれはそれは可愛くて、可愛くて〜~~」
ミリアはデレデレと溺愛してくる。
話聞いてないし………。皆はミリアの溺愛行動には少しは慣れ、ヤレヤレと呆れるのである。
(緊張感の無い奴らだな………)
サウルは眺める。こんな感じで大丈夫なのか………。
───しかし油断は禁物、壁や地面には仕掛けがあり、トラップが発動する危険性はある。
ある時は天井から岩が落下したり、ある時は壁からは無数の槍、ある時は落とし穴の床が開き、穴の底には無数の尖った岩などで全身を貫かれ、天に召されて命を落とす人間も珍しくはない。
★★★★★★
しばらく歩いていたら広い空地に到着し、辺りを眺め、歩き回る………。壁中にはスリ減った壁画が描かれ、10体の戦士の銅像が設置されている。明り(ライティング)による光に照らされ、銅像の表情に影を残して不気味な姿を表現し、皆を監視するように睨みつけている。
空地の中央に設置されている台座には(何か)が鎮座されていた。(何か)の正体は赤い宝玉、燃え盛る炎のような輝きを放ち、この空地を支配しているような雰囲気である。
「あれが例の?」
ミリアは(何か)を見て思った。アレが(魔の宝玉)だと………トレジャーミッションって案外………。
この感じもしかして………。
「待てっ」
サウルはこの状況を察知し、思わず声を上げる。
何故ならこんな簡単に依頼目的のブツがあるのはオカシイから………。
───赤い宝玉は皆の存在に反応し、赤い輝きを空地中に放つ。そして地面に魔法陣が展開し、皆は魔法陣に巻き込まれた。赤い宝玉の正体は反応タイプの遺跡トラップ、侵入者が来たら反応し、魔法のトラップが発動する仕掛けになっている。




