第79話 10年後PartFINAL・運命の日
半年後。
父のイザーク・ミア・シュバルツが病により死去し、崩御。これにより王位継承権は娘のミリアに引き継がれ、城下町の中央広場にて戴冠式が民衆の前で執り行われ、正式にミリアがクロフォード王国女王陛下に就任。観衆や兵士達からは拍手喝采を浴び、これから王国の未来を導いてくれる事を期待する。
───演説台の上からミリアは拍手喝采を浴びせる観衆に軽く手を上げて応える。
(アンゼシカお姉様………)
ふとミリアは、整列中のアンゼシカ将軍を眺める。彼女は機械のような表情を浮かべ、拍手をしている。
おめでとうございますミリア様………と、祝ってくれるかと思っていたが、笑ってない。
そして………ミリアは不安な表情を浮かべ、演説台から降りるのである。
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さらに半年後、運命のあの日が訪れるのであった………。
「ミリア・ミア・シュバルツ陛下っ。アナタを追放処分とするっ」
それはあまりにも突然の事だった………。
謁見の間にて、私が玉座に座っていた所、アンゼシカ将軍が率いる騎士達が武器を構えて押し掛け、追放宣告を与えられた。アンゼシカの表情は鉄血、まるで生きていた頃の父イザークのような表情を浮かべ、あの頃の優しいお姉様はいない。
どこでどう動いていたのか、私は知らなかった………。追放される側の立場だけど、さすがはお姉様だと皮肉に評価してしまう自分がいる。
私は玉座から立ち上がり、潔い表情を浮かべ、口を開くのである………。
「今まで、父の命令の元で国に尽くして働いて頂き、ありがとうございます」
ミリアは頭を下げ、玉座から降りる。
追放宣告された時、私は何も思わなかった………。自動的に王位継承権を引き継がれたのは嬉しくなかった。何故なら自身が国の指導者となり、父のように強い国王として導く自信はないからだ。追放されて嬉しい自分もいる。
それに………アンゼシカお姉様はどこか私の事を憎んでいたかも知れない………。それが追放理由の1つなのかも知れない。
私は騎士達の中、アンゼシカ将軍の前を通り過ぎ、軽く頷く。
───ふと、一瞬だけど見た。アンゼシカ将軍は涙を流し、何処か安心したよう表情を浮かべていた………。
(え、お姉様?)
私はアンゼシカお姉様の表情に思わず振り向く。しかし表情が隠れ、分からない。扉を閉め、重い音を響かせ、謁見の間を退室した。
───こうしてミリアは城から追放され、思い出が積もった城を後にするのである………。アレは一体、何だったのだろうか………。




