第7話 帰還
───3日後……。
「はっ!!」
ミリアが目を覚ましたのはベッドの上だった。場所は中央都市アフタヌーン支部の冒険者ギルドの簡易スペースの部屋である。
私、生きている……あの状況で生き残れたなんて、自分でも信じられない。
1分、2分……ミリアは沈黙。あれ?そう言えばダメージにより意識が薄くなっていたから覚えが乏しいが、あそこに駆けつけて来た女性騎士が来て、私はあの方に……?
すると、部屋のドアが開く。
「目を覚ましたんですね?」
簡易スペースに入って来たのは事務スーツを着用した中肉中背、眼鏡を着用した黒髪の男性。年齢は20代前半、整った髪型は管理職を絵に描いたような姿だ。
「スペンスさん、ご心配をかけました」
ミリアは頭を下げる。
「ミリアくん、まずは君の身体を心配しなきゃ。ここに運ばれた時は、君は危なかったんだよ」
スペンスは心配する様子で言った。彼の本名はスペンス・ロドリゲス。ミリアの全身に包帯が巻かれ、切り傷、火傷が至る場所に刻まれた形で残り、ここに運ばれた時は、心身と衰弱しており、薬草等で治療してもらった。
ちなみに依頼料は………厳しいながら失敗になり、報酬はゼロである。
───スペンスは、彼女に事の経緯を説明する。
★★★★★★
それは3日前に遡る……。
冒険者ギルドのドアがドンっと開かれ、冒険者達がびっくりして視線を向けた。
「ハァ………ハァ………ハァ………この娘を、助けて下さいッ!!」
アンゼシカ(真美)は息を荒く吐き、傷だらけのミリアを抱き抱えながら冒険者ギルドの酒場で叫んだ。それは何処ぞの映画のシーンのように。
★★★★★★
「そんな事が?………あの、私を運んでくれた女性の騎士は?」
ミリアは尋ねる。
「あの女性騎士様なら……ちょっと、ミリアくん?」
スペンスの言葉を最後まで聞かずに、ミリアは飛び出すようにベッドから降り、簡易スペースから退室。
───〈冒険者ギルド・酒場〉───
店内全体は酒場のようなスペースになっていた。20台のテーブル、依頼が貼られた10台の掲示版には戦士、魔法使い、格闘家、盗賊などが集まり、賑わっている。受けたい依頼があれば、受付カウンターに申請し、仕事開始だ。
彼女は………私を助けたあの方は………
ミリアはキョロキョロと室内を眺め、女性騎士を捜索する。
何故だろう、あの女性騎士の事が頭の中から離れない。彼女に会って何を伝える?アナタの正体は、何故私を助けた?色々な思惑が頭の中をクルクルと回り、混乱状態。
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