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第78話 10年前part20・お姉様(アンゼシカ)との思い出




 それから………1週間後。

───ミリアは城内の庭園を歩いていた。この花畑の庭は、小さい頃にアンゼシカお姉様と散歩していた場所だ。あの頃のミリアは、お姉様に花は好きか。と、尋ねられたが、花粉症気味だから好きではないと答えてしまった。


(……………)


 ミリアは花の庭を眺める。

 今では花は好きだ………アンゼシカお姉様が花が好きな訳が分かる。花を見たら平和を感じ、種類によって香りも違い、色々な花言葉もあるらしい。

 

 この花畑の庭を眺めていたら、アンゼシカお姉様の思い出を思い出す。世話係としてはなく、年の離れた姉のような方だ。私には兄弟や姉妹がいなく、彼女に会う度に心地よい気持ちになる。


 ★★★★★


───ミリアは複数の侍女を引き連れ、次は麦が広がる麦畑に辿り着く。


 ミリアは麦畑を眺め、思い出に浸る………。

 あの時、アンゼシカお姉様と寝転び、笑い合った場所である。季節は春、小麦畑には波風がユラユラと揺れ、あの頃の思い出が記憶から甦る………。


 馬に乗り、草原を風を切って走った。

 馬に乗せて貰い、彼女の背中姿はとても大きく、それは温かくも力強く、私は憧れた。


 もっとスピードを上げてっ


 了解しましたミリア様っ


───ミリアの言葉に、アンゼシカは快く了解し、パカパカと馬の蹄を踏み、走らせる。


 その次は王族主催の社交会。


 私とダンスの相手をお願いしますか?


 ハイ、喜んで。このアンゼシカ・ヨハーソンがダンスの相手をして頂きますっ


 アンゼシカはミリアの手を取り、貴族達が披露しているダンスの中に交じ入り、ミリアをリードする形で足さばきを披露し、舞踏を披露する。

 ミリアはカチカチに緊張していたが、アンゼシカは落ち着いた様子でニコリと笑い、ミリアをリラックスさせる。


 何よりも楽しかった思い出ばかりである………。


「ううっ……………お姉様、アンゼシカお姉様………」


 ミリアは記憶を思い出し、涙を流した………。

 あの優しかったお姉様………まるで人が変わったような姿。大好きなお姉様なハズなのに、廊下ですれ違った時は、彼女の姿が恐ろしく見えた。

 

「ミリア姫様?」


 侍女達は心配な様子てミリアに駆け寄る。


「あああ………ああっ………」


 ミリアは声を出し、身体を屈ませ、泣き叫ぶ。

 逆らえない時間の流れ、理解出来ない自分の情けなさに………悔しくて寂しくて………あの頃のお姉様でいて欲しかった。と言う自分勝手な気持ちがごちゃごちゃに混ざり、動転。


 人は時が流れると環境や身分、能力によって……極めて近く、限りなく遠い存在になる………。


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