第6話 アンゼシカ(真美)、参上
ミリアは……うつ伏せになって眺めていた。
深紅の長髪の女性騎士、アンゼシカ(真美)はバサッとマントを広げ、得物である大聖剣を片手で担ぎ上げ、さらに距離をとって漆黒の聖職者達を睨む。
アンゼシカ(真美)は先程、中央都市アフタヌーンに到着し、冒険ギルドにミリアの事を尋ねたらこの場所で採取依頼をしていると教えてもらい、急いで駆けつけて見つけたらミリアがピンチで思わずジャンプして華麗に参上した訳だ。参上のタイミングがまるでピンチの時に駆けつけるヒーローのようで、やってみたかった。
ちなみに着用している舞踏マスクは雑貨屋で適当に買った。何故ならミリアに正体がバレたら大変だからだ。
(さすが次期ラスボス……)
真美はアンゼシカの力量に心酔し、大聖剣を振り回し、軽くストレッチする。
身体が軽い………。現実世界ではカチコチの運動不足、平凡なOL暮らしをしていた頃の感覚とは大違いだ。
漆黒の聖職者達は矛先に炎をパキパキと燃え盛らせたランスを一斉に構えて威圧感を放ち、戦闘態勢を整えていた。
アンゼシカ(真美)は漆黒の聖職者を見て思う。
(え、何アレ?序盤で戦うモンスターにしてはゴツ過ぎない?)
RPGゲームでは最初はス○イムやゴブリンとかそんなチッチいレベルから始まって徐々にレベルアップして行くんじゃないの?。と、真美は色々と文句を言いたくなる。だって凄く強そうだし、物語の序盤の面ではないからだ。せめて、最初はス○イム的な奴から……。
が、今はそんな事は構いなし。この世界が、今は現実だ。
───ッ!!
漆黒の聖職者達は炎ランスを構え直し、容赦なく一斉に駆ける。
───えいや、なるようになれッ!!
もう半分ヤケクソ、真美は大聖剣を片手で構え、駆ける。
それは一瞬のタイミングだった………。漆黒の聖職者達を神速のスピードで通り抜け、そして大聖剣を片手で振り回し、同時に担ぎ上げて構え直す。
────ッ!!
真美が視線を戻した同時に漆黒の聖職者達の全身に十字架の形をした斬撃の跡が発生し、赤黒い炎が燃え盛り、消滅した。
「決まった……」
アンゼシカつえ〜〜~……と、真美はアンゼシカ・ヨハーソンの攻撃力に心酔する。
一瞬のスピードでモンスターを通り抜け、斬り倒す。それは身体が風を味方に付けたように物凄く軽い。私はゲームをしていて、仲間がピンチの時に強いキャラが駆けつけて、強い敵を倒す。シーンが物凄く好きなのである。
考えが少年だって?………ほっとけ。
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