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第66話 10年前Part8・大好き



───〈城の外、小麦畑〉───


 城の庭園の花畑を抜け、2人は外の麦畑に辿り着く。目が奪われる程の広大な芝生、微風でユラユラと揺れる金色な景色が行き渡り、眺めていたら思わず叫びたくなるような光景である。


 アンゼシカは景色を見ていたら思わず………


「いい景色ですね………ミリア様ッ?」


 春の風に当てられ、アンゼシカは心地よい気持ちになって口を開き、隣のミリアに視線を移す。が、隣のミリアに視線を移したらいない………。

 何処に行ったのだろうか………と、軽く見渡すアンゼシカ。


───わ~いッ!!


 一方のミリアは元気一杯な声を響かせ、草原の下り道を下り、走り去っていた。何故ならミリア様、この年頃になると広い場所を見たらつい走り回りたくなる年頃である。

  

 全く姫様は………


「ミリア様、走ると危ないですよっ」


 アンゼシカは追いかける。まるで娘を………いや具体的には年の離れた妹を持った姉のような気持ちか………。万が一、王族の人間を怪我をさせてしまったら自身の責任を疑われる。


 独裁陛下の愛娘、下手をしたら処刑………

  良くて追放、もしくは除隊されるかも知れない気持ちだ………


「ミリア様?………」


 どこに行ってしまったのか………。アンゼシカは麦畑の中に立ち止まり、辺りをキョロキョロと眺める。麦は自身の胸辺りまで伸びており、小さなミリア様が生い茂る麦畑の中に身を潜めてしまった。


 数秒後………


 アンゼシカの後ろから、何かが駆け抜け、そして………。


 後ろからアンゼシカは何かにタックルされ、押し倒された………。ミリアはタックルするように抱き締め、麦畑の中をクッションに、グルグルと回る。


 アンゼシカに上乗りになるミリア。

 2人は並んで寝転び、そして………。


───ハハハハハハッ!!


 2人は笑うのである。 


 アンゼシカは思った。この時間がこのまま続けば良いと願った………隣で笑うミリア様の笑顔、見ていたら血と硝煙に塗れた辛い戦場任務を忘れられるからだ。理不尽とも言える王国が実施する民族支配、被害者達の顔が時々浮かんで来る事もあり、幸せで良いのだろうか………と、1人になると自問自答する事もある。


「お姉様?」

 

 少し沈黙しているアンゼシカにミリアは尋ねる。


「すいませんミリア様。ハイ、何でしょう?」


 ちゅっ………


「ミリア様?………」


 ミリア様のほっぺにチューにアンゼシカはチューされた頬に手を当て、赤面。


「大好き」


 ミリアはアンゼシカに抱きつく。




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