第60話 10年前Part2・ミリアとアンゼシカ
あれからミリアはアンゼシカにすぐに懐いた。心に寂しさがあった為か、よく笑うようになった。
───部屋にて、少女ミリアは新兵アンゼシカに勉強を見てもらっていた。王国の数式学をアンゼシカが教えている立場であるが………ミリアが普段、勉強している問題が少し難しく、苦悶の様子。簡単な勉強だと思っていたが、違う。
ミリアはアンゼシカの数式を見て、何かに気づき、口を開く。
「おねーさま、それちがうよーー」
「えっ?」
ミリアの指摘に、アンゼシカはビックリ。ちなみにおねーさまと言う呼び名はミリアが提案したのだ。
「この問題の公式は、こーして、あーして、こーだよ」
ミリアはアンゼシカが書いた答案を消しゴムで消し、新たな数式をスラスラと記入。ミリアは勉学に優れ、知識は豊富である。
アハハハハハ………。
やってしまった………と、アンゼシカは苦笑い。
ちなみに彼女は勉学は苦手であり、教える立場が教えられる立場になった。
「次はワタシが教えてあげるーーー」
ミリアはニッコリと教えてくれる。
「わーい、嬉しいなぁ」
アンゼシカは両手をパチパチ。子供に勉強を教えてもらっている15歳の女の子。正直、複雑な気持ちであり、どっちが生徒か分からない。
勉強をしているミリアの横姿は優しく、それはどこか愛らしい姿。緊張しているアンゼシカの心を優しい気持ちに包まれていく。
「にしっ………」
ミリアはニコッとアンゼシカに笑いかける。
(…………)
ミリアの笑みにアンゼシカはドキッと頬を赤くし、指を頬にポリポリと搔く。
それから、ミリアの大人顔向けな指導力で勉強を教えてもらい、それで問題を正解して………。
「よく出来ましたーーー」
ミリアは満足した様子でアンゼシカに抱きつく。
最初の緊張はどこへやら………楽しい時間はあっという間に流れていく。そして時間になり………。
「ミリア様?」
アンゼシカは頬を赤くし、困惑。何故ならミリア様、アンゼシカの腕を組み、帰してくれない。
うむ、仕方ない………。
今日はミリアの部屋で一夜を共にすることに………。
───スゥ~スゥ~スゥ~。
豪華なベッドにて、ミリアは安心した様子で寝息を響かせ、就寝。
アンゼシカは就寝中のミリアの胸部をポンポンと手を置き、子守りをする。
ははうえ………。
就寝中のミリアの目に小さな涙がポロリと滴る。
(ミリア様………)
アンゼシカはその涙を指先ですくい上げ、そしてミリアの額にキスをし、重厚かつ深紅のカーペットで行き渡る廊下を歩み、ミリアの部屋を後にした。
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