第59話 10年前Part1・小さな私(ミリア)
あれは10年前。理解者である私が母上を喪い、ちょうど5歳の頃である………。
私、ミリア・ミア・シュバルツ。部屋でいつものように勉学に勤しみ、過ごしてた。母上を亡くした後、平然な気前に振る舞う様子の私、しかし城の使用人達は心配していた。王族であっても5歳の女の子、どこか寂しい気持ち、悲しい気持ちを漂わせているのだろうと思われていた。
理解者の母上が病で喪い、すごく悲しかった………葬儀の中、母上が納められている棺を前にしても、涙は流れない位だ。
そんな時、彼女が現れた………。
「姫様、失礼致します」
部屋のドアを開き、1人の女性兵士を連れて現れたのは中年男性の大臣だった。引き連れた女性兵士は赤髪のショートヘアー、甲冑姿。まだ入隊間もない新人のあどけない雰囲気を漂わせている。
少女ミリアは人見知りな表情で沈黙し、緊張。
誰だ、この人は?………。
「突然の訪問、お許しを………姫様に紹介しなけらばならない話があり、参りました」
大臣はお辞儀。そして女性兵士を前に出て自己紹介をするように肩をポンと叩き、促す。母を喪った寂しい気持ちの愛娘を国王陛下が心配し、世話係を探していた。それを大臣に勅命し、その後は色々と調査し、アンゼシカが適任とし、任命した。
これは大臣からの指令であり、絶対だ。新兵が指令を断る事は許されない。
女性兵士は一歩前に出て、ゴクリと息を呑む。
「今日から彼女は姫様の………全ての、世話係を務める事に任命しましたアンゼシカ・ヨハーソンと申します」
女性兵士はブルブルと緊張した口調で敬礼。何故なら独裁的な性格の陛下の愛娘、緊張しないわけがない。もし、姫様に失礼を働いたら処刑される緊張感を漂わせ、栗肌をブルブルと行き渡らせる。
すると少女ミリアは突然現れたアンゼシカに人見知りし、ベッドに身を隠してしまう。
「えっ………と」
新兵のアンゼシカはどうすれば良いか分からない様子で困惑し、中年男性の大臣に視線を向ける。
「では、頼んだぞアンゼシカ」
中年男性の大臣はアンゼシカの肩をポンッと叩き、部屋から呑気に退室した。
新兵アンゼシカはあたふた、まず何をしたら良いか分からない。入隊してまだ3ヶ月、慣れてない。
一方の少女ミリアはベッドから顔を覗かせ、様子を伺っている。お互いどうするか分からない為、沈黙して重い空気に包まれる。
そして………ミリアは緊張するアンゼシカに歩み寄り、にっこりニッコリと可愛らしい笑みで手を差し伸べる。
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