第5話 謎のモンスター
───ッ!!
4体のリザードナイトが撃破され、ミリアは腰元のショートソードの鞘を握りながら驚き、額から冷や汗を流す。
リザードナイトを斬り伏せ、全身に赤黒い炎を纏い、ジリジリとした熱圧の威圧感を放ち、出現したのは身長180センチの異形なモンスターだった。衣装は漆黒の聖職コート、頭部に冠、そして黒い顔には(呪印の札)が貼られている。 一言で姿を表現すれば、漆黒の聖職者。
「何だ、このモンスターは………」
ミリアは異形のモンスターに畏怖する。何故なら雰囲気で感じる、このモンスターは強い。今まで遭遇した事のないモンスターだ。
漆黒の聖職者は、空中に赤黒い炎の裂け目を出現させ、炎のランスを片手で持ち上げる。
「私は、私はクロフォード王国王女ミリア・ミア・シュヴァルツッ!!相手になってやるッ!!」
ミリアは自身の畏怖を、王女としての意地で一蹴。ショートソードを鞘から抜き、片手で構える。
漆黒の聖職者は炎のランスを突き上げ、呼び出し(コール)を唱える。
そして………。
空中から4か所の赤黒い炎の裂け目が出現し、1体、2体、3体、4体……漆黒の聖職者が降臨。降臨と同時、4体の漆黒の聖職者は赤黒い炎の裂け目を出現させ、炎のランスを片手で担ぎ上げる。
仲間を呼ばれた……しかも4体。最初の奴と合わせて5体。
「ハァッ!!」
ミリアはショートソードを構え、駆ける。1体目、漆黒の聖職者に狙いを定めて中間距離から剣を振るう。
1体目の漆黒の聖職者は右側に身体を反らし、回避。
(反応が速いッ!!)
ミリアは驚愕しつつ、さらに回避した所に狙いを定め、剣を振るう。
1体目の漆黒の聖職者は今度は左側に身体を反らし、回避。
───クソッ!!
ミリアはショートソードを両手で構え、振り下ろす。
漆黒の聖職者はランスを振るい、切り払い。
切り払うランスのスピードが速すぎて見えなかった……ミリアは体勢を崩され、後退。
漆黒の聖職者は炎のランスを伸ばし、槍撃。
「ぐっッ!!」
ミリアの全身。右頬、左肩、右わき腹、右肩、左太ももの5ヶ所に槍撃を刻み込まれ、ダメージを与えられた場所に赤黒い炎を燃え盛らせ、後退。舐められたものだ、あえて急所を外し、まずは死なない程度で痛めつけている。
漆黒の聖職者達は炎のランスを振り回し、接近。1発、2発、3発……炎のランスを放ち、ミリアの剣先、両肩、太ももに槍撃を高速で与える。
まるで弱い者イジメ、生かさず殺さず、嘲笑うかのように……痛めつける。
「あっ………ぐっ………」
ミリアは痛めつけられ、10メートルまで後退。全身の衣類はズタボロ、裸に近い状態になり、ズタボロになったヶ所には火傷。
漆黒の聖職者達は止まり、ランスで地面をガンガンと叩き、恐怖を煽る。
──助けて、誰か………
アンゼシカお姉ちゃん………
ミリアは涙を流して倒れ、思わず自身を追放に追い込んだアンゼシカ将軍を思い浮かべる。彼女は私の姉のような方であり、優しくて強い……そんな人だ。
────ッ!!
次の瞬間、漆黒の聖職者達の正面の位置に何かが降り立ち、衝撃波を展開し、砂煙。漆黒の聖職者達は衝撃波に負け、後退。
死を覚悟をした私の前に……
突然、現れたのはヒーローだった。
砂煙が晴れ、大聖剣を振り下ろした状態で姿を現したのは深紅の長髪の女性騎士。重厚なマントを広げ、袖無しの鎧、スカートを着用し、足には軍用ブーツ。そして、顔には舞踏マスク。
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