第58話 呪いと向き合うミリア
「私が見つけたのは………」
デビッドは3冊の書物を取り出す。個人的に気に入った為、こっそりと貸し出しをした。
「何だコレは?」
アレックスは尋ねる。
するとデビッドは書物のページを広げ、活々とした表情で口を開く。
「これは愛ある嫌がらせ集の上、中、下巻の書物です。私がアレックスさんに行いたい嫌がらせ10項目中、10項目ありました。ククク、どれも魅力的ですね………」
「おや、それは興味深いですね?是非、私も見せて下さいませんか?」
隣のロメロはデビッドの怪しい書物に興味深い様子。そして、いつの間にかパンツ一丁の姿。2人の光景は仲の良い友達同士のように………。
「オォッ、これは魅力的ですねッ!!あんな事やこんな事、実に美しいッ!!」
「この魅力、分かってくれましたかぁ!!」
デビッドとロメロは活々とした様子でガシッと握手を交わし、意気投合。同時に書物をパタッと閉じ、2人は獲物を狙う目でアレックスをジィーと、睨みつける。
「やめろ………目が、目が怖い」
アレックスは、まるで雷流を全身に行き渡るかのような身の危険を察知。スッとイスから席を立ち、後退。
「ラブ・ハラスメントですよ………ラブ・ハラスメント………」
2人はゆっくりした足取りでアレックスに迫る。
「ラブ・ハラスメントって何だッ!!ラブ・ハラスメントってッ!!」
アレックスは額からは汗を流し、逃げ回る。
目がマジのデビッド、パンツ一丁姿のロメロは、ラブ・ハラスメントの言葉を連続して唱え、歩み去る。彼らに捕まったら何されるか分からないし、人生観が大きく変わる恐れがある。
「ハハハハハハッ!!」
一方のサウルは、このやり取りに他人事の様子でゲラゲラ笑っている。
「お前も笑ってねぇで止めろッ!!」
と、危機を感じたアレックスは訴える。いつの間にか2人に取り押さえられている。2人はサンドイッチのようにアレックスを挟み、ホッペや胸元をツンツンしている。
するとミリアは席を立ち、口を開く。
「すいません………私は大丈夫です。聞こえる声は、ただの疲れから来てますので、ありがとうございました」
ミリアは頭を下げ、感謝。
ミリアのセリフに、思わず皆は足を止め………賑やかだった空気がピタリと一変し、微妙な雰囲気になる。
「そうか………」
アレックスは了解。
私は皆に本当の事を伝える事が出来なかった。図書館で起きた自身の姿、それは余りにも強大で恐ろしい姿である。しかし、図書館の資料で見つかる程度の呪いではなく、地道に探して前向きに、呪いは力と認識し、向き合っていくしかない。
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