劇場版ストーリー 43
───すると、ミリアの頭上を(何か)が飛び越え、通過した。そして祭壇に着地し、リシャール新総統の隣に現れたのはフェイスマスクを外した女性工作員だった。その正体に、ミリアは残念な表情で視線を向ける。
「シェバさん………どうしてアナタが?」
新総統リシャールの隣に立ち、シェバを開く。
「それはアナタが………家族を奪った王族が憎かったからよ。王国にいた頃、平凡に暮らしていたのに、それなのに王国は民族支配をして、争いを引き起こし、それで私の家族は離れ離れになったのよ」
シェバの憎しみに満ちた言葉に、ミリアは沈黙するしかない。
「父親を残して共和国に逃げて、王国に復讐する為、この(新政府バロム)に入ったのよ。共和国軍に対して優位に進める為、ギルドのスパイと潜入して、あらゆる情報を組織に流し、汚職議員の後ろ盾になったり、アナタ達のサポート役として、その動きを常に報告していたわ」
(シェバさん………)
ミリアは彼女の気持ちに浸ってしまう。するとリシャール新総統はマントを広げ、宣言する。
「そして彼女はこれから儀式を行い、悪魔と融合し、その力を持って共和国だけではなく、この世界の支配者となる為、我々は神となる」
リシャール新総統の言葉に、アレックスは笑う。
「お花畑なセリフだな?なら、全力で阻止してやるよ」と、ロングソードを構える。
すると、リシャール新総統はスッと黒刃のロングソードを掲げ、詠唱する。
■■■■■■■………。
───次の瞬間、台風のような黒い衝撃波が全体に発生する。その詠唱は魂を消費する禁じられた闇の魔導術である。
全体に発生する黒い衝撃波に、アレックス達は後方に吹き飛ばされ、下がってしまう。
「くそ、近寄れないっ………」
アレックスは体勢を整え、踏ん張る。
「さて、儀式を始めよう。世界の支配は目の前だ………」
「全ては………世界を作り直す為に」
シェバは両手を掲げ、詠唱する。そして祭壇にて、邪悪なるである核漆黒の球体が出現し、禍々しい輝きを発生させる。
「シェバさんっ!!」
ミリアはショートソードを地面に刺し、両手を掲げて詠唱。そして召喚する、聖剣クラウ・ソラスを………。
「ミリアさんっ!!」
アンゼシカは重い足取りでアレックスの横を通り過ぎ、叫ぶ。何故ならミリアは、自身に発揮している聖なる光の威圧感により、黒い衝撃波の影響は受けていない。
背中姿のミリアに、アンゼシカは思い出した………。
(これは、夢の中で見たあの光景だ………)
そう………これは劇場版のクライマックスだ。
「ごめんなさい………みなさん」




