劇場版ストーリー42
───異様な威圧感を発揮する元王国系テログループの工作員達は片手剣、バックラーを構えて戦闘体勢。メキメキと音を立て、全身の筋肉が隆起し、赤い鋭い眼差しを輝かせる。
複数の工作員達から漂わせる威圧感に、一帯の空間はジリジリとしま熱圧を発生させ、歪む。
(もしもしの時は、この私が………)と、アンゼシカは大聖剣を片手で担ぎ上げ、構える。何故なら私はミリアさんのサポート役だから。
「マスク・ド・aさま、手出しは無用です」
ミリアは振り向き、アンゼシカに言うのである。
「なっ………」
ミリアの言葉に、アンゼシカは唖然する。
「はは、フラれたなアンタ」
アレックスは笑い、同情するようにアンゼシカの肩をポンっと叩く。
「負けてしまえ、泥棒ネコは泥棒ネコらしく泥臭くなればよいのです」
「こら、そんな事言わない」
光の玉の絵葉の冗談気味な言葉を、アンゼシカは注意する。
そして、ミリアの背中を眺める………。
───我々が受けた怒りを、憎しみを、悲しみを受けて思い知れっ!!
異様な威圧感を発揮した元王国系テログループ達は一斉に攻勢を仕掛ける。赤い瞳を輝かせ、響かせる声は獣そのもの、内に秘める闇の心を糧とし、その力を引き出しているのは身体に埋め込めた魔核。
(お爺さま、お父様………アンゼシカお姉様、私に力を貸して下さい)
ミリアは瞳を閉じ、祖先のレオナルドと父上のイザーク、そして恩師のアンゼシカ・ヨハーソンを思い浮かべ、聖なる光を付与し、全身に力を抜いてショートソードを構える。
聖なる光は、これまでの鉄火場を乗り越えて来た自身の威圧感となり、彼等に対抗するように発揮する。
───そして迫りくる異形達を前に、聖なる光の威圧感を最大に発揮したミリアは駆ける。片手にショートソード、刃身に宿らせた白銀の陽炎は彼女による断固たる意思。
「かの者達に宿る過去を念よ、あるべき所へ帰せよ…………」
ミリアは聖なる光を宿らせたショートソードを振るい、元王国系テログループ達を1人2人、3人………と、次々と斬って、彼等を支配している魔核だけを破壊し、倒していく。
時に、彼等が振るう憎しみの剣が、身体中を斬り裂かれるも、それでもミリアは刃を振るい、次々と相手を一閃し、魔核を破壊する。
───そして………。
「はぁ………はぁ………はぁ………」
魔核を破壊され、倒れ伏す王国系をテロ工作員達。全身、斬り傷が刻まれたミリア。息を整え、祭壇に立っているリシャール新総統を、ミリアは睨み付ける。
「見事だ。宿らせた魔核だけを破壊するとはな………」
リシャール新総統は、パチパチと軽い感じで拍手する。




