劇場版ストーリー41
───リシャール新総統の合図により、現れたのは複数名の工作員。黒のフェイスマスクに黒の甲冑、黒いマントを着用した屈強な戦士だ。
「彼等は、かつて王国で活動していた反民族支配主義の元戦士達だ。王国での活動が終了後、我が組織がスカウトした所、喜んで協力してくれたよ」
リシャール新総統は言った。
「そんな………どうして?」
ミリアは悲しい様子で尋ねる………何故なら王国による負の歴史は終わったハズだからだ。かつてのテロリスト達はそれぞれの道に歩んでいたハズ、それなのに………。
元王国系テログループ達、その1人は言う。
「ミリア様、我々はかつて、王国でテロリストとして活動していました。アナタによって王国の負の歴史は終焉を迎え、多くの人々がそれぞれの道を歩んでいきました………」
「しかし、争いが終わっても私の一族や家族は戻ってこない」
「我々の家族は、王国軍人によって引き裂かれ、今でも行方不明だ………」
「我々も、施設に収容されていた姉と妹が王国軍に乱暴され、今では口が聞けない状態になっている」
元王国系のテログループ達は、黒白い炎のような禍々しい威圧感を発揮していた。それは王国、ミリアに対する憎しみだった………。
「ミリア、聞くんじゃねっ!!」
争いが終わっても、その爪痕は残ったままだ。コイツはきつい話だ………アレックスはミリアに怒号を響かせ、彼等の話に耳を傾けるなと言うが………。
ミリアはうつ向き、彼等の話をマトモに受け止める。しかし………。
パンっと、しっかりしろと言わんばかりに両頬を叩くミリア。その光景に、アレックスは黙る。
「私は大丈夫です………。王国代表として、私が相手します」
叩いた頬は赤くなり、涙目のミリアはショートソードを片手で構える。そしてもう片方の手を挙げて詠唱し、聖属性の魔力を刃身に|付与させる。
「ミリアさん?1人だけで、彼等の相手を?」
アンゼシカは尋ねる。
「マスク・ド・aさま、私は大丈夫です。必ず、彼等の怒りと悲しみから解放差し上げますから」
ミリアはニコッと笑うのである。
───ミリアの分ったような態度に、彼等の威圧感はさらに高まり、ギラッと赤い瞳を輝かせる。
解せぬ、我々の怒りを………分ったような口調をしよって………思い知れ、我々の悲しみを、苦しみをっ!!
「フハハハハハっ!!我々が新しく開発した魔核を、実験として奴等の身体に埋め込めば、このような力が発揮されるとは、実に素晴らしい事だっ!!」
彼等の後方にて、リシャール新総統は両手を広げ、高々と笑い声を張り上げるのである。




