劇場版ストーリー39
───そして、アレックスはドアをドンっと蹴破り、とある一室に突入する。敵の兵士達を次々と戦闘不能にしながら通路を走っている途中、デビッドに「ここの一室に小さな魔力反応を複数を確認しました」と、指を差して教えてくれたからだ。
アレックスは驚きを隠しつつ、室内を眺める。
「おいおい、これは………」
「どうかしたかい?」
アンゼシカは、アレックスの後ろからひょっこりと顔を出して眺める。一方、隣にはミリア………大好きな人に怒られても、どんな厳しめの注意をしても、(自分に対する愛情)と、認識し、瞳をハートにしてアンゼシカに腕にしがみつき、抱きついている。
そのミリアを、光の玉の絵葉は「この泥棒ネコめっ」と、ゴツゴツと彼女の頭にぶつけている。
───屋内は牢屋部屋となっていた。ゴツゴツとした鉄格子にひんやりした空気、ポツンとした灯りは心細く、かなり薄暗い。
「誰っ?」
牢屋部屋に、怯えた大きな声。それに釣られるように、他に捕らわれている人達もいるのか次々とパニックに声を響かせる。よほど、怖い目に遭ったのか、悲鳴が室内を支配する。
「待って下さい、私達は敵ではありません。捕らわれているアナタ達を助けに来ました」
ミリアは言った。
「助けに来たって………」
「ギルドの方かしら?」
「いや、共和国軍の人達だ」
ミリアの声に安心したのか、捕らわれている人達は落ち着いた声でどよめく。
───そして、鉄格子の扉を開き、閉じ込められていた一般市民を解放した。老若男女、様々な年代の一般市民達で溢れかえっていた。
「おいおい、何て数だ。奴ら、これだけの人達を誘拐していたのか………」
アレックスは言う。1人1人、数えていても10人から30人、40名弱はいるだろう。
「アンタ達、ギルドの人かい?」
解放されたおじさんの1人は尋ねる。
「安心して下さい。私達は共和国政府の依頼で、アンタ達を解放にしに来ました」
ミリアは言った。
そして、彼等の話を聞いてみたら、それは壮絶すら生ぬるい物だった………。殆どの人は歩いていたらいきなりここに連れて来られ、牢屋に閉じ込められ、その後は1人とまた1人と牢屋から引き釣りだされ、誰も帰って来なかった。
次々と消えていく捕虜達に、次は自分ではないか………と、恐怖で震える身体に鞭を打ち、40名の中にいた1人の男性が声を絞り出す。
「牢屋の外で奴らは、人間とモンスターの融合実験や薬物実験を何とか言っていて………」
「何て事だ………もはや外道だな」
男性の説明に、アレックスは怒りを覚えながら腕を組み、険しい表情を浮かべる。




