劇場版ストーリー38
───ピラミッド遺跡の中に入り、先頭を駆け走るミリア達は広々とした通路の中にて、遭遇するテロリスト達を次々と撃破していく。
壁や地面、天井は至るか所は石造りで、灯りはランタンが吊るされ、そして謎の壁画が描かれている。内容は、当時の人々が2台の祭壇に横たわるモンスターと人間を、司祭らしき人物が両手を掲げ、儀式を執り行っている光景だ。
「ぐはっ」と、ミリアは剣術による峰打ちで、睡眠状態となって、コロッと意識を失う敵兵達。もちろん、峰打ちで、人間相手の殺生はあまりやらない事にしている。それはミリア、至っての希望である。
彼女が振るうショートソードが、相手の身体をスパッと軽く切られた事により、睡眠状態になる仕組みだ。
「ふん、私の状態異常の付与に感謝するのですよ」
光の玉の絵葉は、恥ずかしい表情でミリアの周りをクルクルと空中を回り、憎まれ口を叩くのである。「どうも、ありがと」と、ミリアも同じく恥ずかしい表情で応える。
ピラミッド遺跡に入る時、ミリアは予めお願いしていた………刃身部分に睡眠属性の状態異常の付与をして下さいって………。
(まったく2人共、素直じゃないのね………)
はるか後列にて、2人のやり取りをアンゼシカは微笑む。
「せんぱい、何か言いましたっ?」
「マスク・ド・aさま、何か言いました?」
同時に2人は振り向き、尋ねてくる。
「はいはい、何も言ってないから………」と、ミリアと絵葉の問いかけに、うまく受け流すアンゼシカ。するとアンゼシカはピクッと察知し、一瞬のスピードでアレックス達、そして「きゃっ」と、突風のような風圧でよろめくミリアを追い抜き、駆ける。
───ポタポタと…………緑色の血を刃から滴らせるアンゼシカ。ミリアから見て至近距離の前、人間とリザードナイトを融合して作り出された3体の合成魔獣を、アンゼシカは大聖剣を振るい、両断していた。
3体の合成魔獣達はグロテスクな肉塊となり、ドスっと倒れる。
「ミリアさん、油断大敵です………訓練の際、ソフィアさんからいつも教わっているハズですよ」
アンゼシカは大聖剣を担ぎ上げ、ミリアにやんわりと注意する。
「ごめんなさい、マスク・ド・aさま………」
大好きな人に怒られたショックか、ミリアはしゅん………と、頭を下げる。
(おや、少し言い過ぎたかな………)
落ち込むミリアの様子に、アンゼシカは大聖剣を担ぎながらポリポリと頬を掻く。叱るのは慣れてないが、あえて厳しめの注意したのは将軍のソフィアから(アナタはミリア様に対して、優しすぎる)と言われたからだ。




