劇場版ストーリー36
デビッドは言う。
「見つけました、ここから東の方にある小さな無人島があります。そこが発信ポイントです」
「お前、魔力の発信源を特定出来るのかよ?」
アレックスはデビッドの能力に驚く。かれこれ、コイツ(デビッド)とは長い付き合いになるが、こういった能力を知ったのは初耳だ。
「ま、細かい事は気にしない。さて、ボートで例のアジトに向かいましょう」
デビッドは微笑み、言った。
───そして事後処理は船乗り員に任せ、皆は交易船を降りて小型の高速船に乗って例の無人島に向かう。今、首都には共和国の兵士達とギルドがいる。モンスターの鎮圧は彼等に任せ、自身らはテログループのアジトを制圧をするのが得策だと判断した。
東に高速船を前進させて数時間後、時刻は夜。ミリア達は例の小さな無人島に辿りついた。景色は至って普通の島であり、何の特徴もない。まるで………人々から忘れ去られたような、そんな島である。
船着き場にて、小型の高速船を横付けする。そして皆は降りて海岸からの景色を眺める。
「ここに例のテログループの本拠地って奴か?」
アレックスは言う。
「先程のサーチ能力で、複数の魔力の反応がありましたので、この島が彼等の本拠地の可能性が高いでしょう」
デビッドは杖を構え、言った。
「それでは、行きましょう」と、ミリアはショートソードを構える。
「俺も最後まで付き合うぜっ」
「皆様に同じく」
サウルとロメロは同時に言う。
「私も、みんなと戦うっ」と、小さな翼はビシッと手を挙げる。
───そして、皆は島の中を走る。
辺りはジャングルとなっている。一帯にはヤシの木が生え、カラフルな鳥がバサバサと羽ばたかせ、鳴き声を響きかせる。
「せいっ!!」
先頭に立つアレックスはロングソードを抜き、飛び出して来たオークを斬り伏せる。
「はあっ!!」
「はっ」
ミリアとロメロも後に続く。ミリアはショートソードを振るい、ロメロは拳を放ち、大型の鳥龍を撃破。
デビッドは杖を構えて詠唱し、複数の氷塊を出現させる。
「氷の岩撃っ」
複数の氷塊は前方に立ちふさがるリザードナイトの群れに放たれ、パキッと氷結する。
───すると、ジャングル一帯にジリジリと鳴き声が響き渡り、現れたのはグリーンテンタクルス。
「みんな、離れろっ!!コイツを喰らいなっ!!」
サウルは赤黒に輝いたルビー色の手作り爆弾を、投げ放つ。
そして、ルビー色の手作り爆弾はグリーンテンタクルスに直撃し、大爆発を発生させ、大空に登らせる程の煙。
「うひゃ………ヤバい威力だな」
サウルは笑い、自画自賛する。




