劇場版ストーリー34
───小型の高速船に乗ったミリア達は、例の交易船に向かう。それはギルドにて、緊急に舞い込んで来たクエストであり、交易船を制圧している武装集団のせん滅である。
武装集団の正体は恐らく(新政府バロム)の者達であろう。
「あれが例の交易船か?」
アレックスは言う。視線の先には大型の交易船が映り、不気味なほど、雰囲気を漂わせた静けさに満ちている。
静けさな雰囲気に包まれた交易船に、デビッドは冷静な表情で口を開く。
「彼等の気性を考えたら、乗組員の身に何が起きてもおかしくありません。いち早く、彼らをせん滅しなければなりません」
(新政府バロム)は容赦なく民間人を殺害する外道だ。長い時間を経過すれば、何をするか分からない。
───そして小型の高速船を停止させ、ゆらゆらと船体を揺らしながら交易船に横付けさせ、フック付きのロープで船体に固定させる。
「ここは、私に任せて下さい」
デビッドは体勢を整え、詠唱する。
そのとき、ミリアとアレックス、サウル、ロメロ、そして小さな翼の足元にそれぞれ詠唱陣が出現する。
「今から、皆様を船の中に飛ばします」
デビッドが言うと、ミリア達は消え、空間転移する。一方のアンゼシカはチート並の飛脚力で船体に飛び付き、侵入する。
───ミリア達は甲板にて、空間転移。甲板の周囲には予想通り、(新政府バロム)の工作員が臨戦態勢を整え、武装していた。
アレックスはロングソードを構え、ざっと甲板にいる敵兵を数える。
「数は、ざっと30名ってところか………」
「ギルドの奴らか………まったく、情報が早いものだ」と、(新政府バロム)の工作員達は一斉に片手剣とバックラーを構え、数の威圧感を漂わせる。
(私は、ミリアさん達のお手並みを拝見しましょう………)
一方のアンゼシカは船の帆柱に立ち、ミリア達の戦況を見守るのである。もし、出撃するなら、あの女性の工作員が出てきてからだ。
───そして、ミリア達と(新政府バロム)の工作員達は交戦を開始する。
一斉に刃を交え、火花を散らし、互いの意地が交差する。
デビッドはスラスラと詠唱する。
「2人共、風の付与術ですっ」
「サンキュー、デビッドっ」
「ありがとうございます、デビッドさん」
アレックスとミリアに風属性の付与術を与え、2人のスピード能力をアップさせる。
「はあっ!!」
スピードアップしたアレックスはロングソードを振るい、敵の工作員達をなぎ払う。
「せいっ!!」と、ミリアはショートソードを横に構え、風のスピードで駆ける。そして1体、2体、3体、4体、5体と一閃し、敵兵の工作員達を斬り伏せていく。




