劇場版ストーリー 31
───父を残し、共和国に逃げたハメド親子。居住は西地域にある山にある農村、共和国にいる父の知り合いにより紹介され、何とか難を逃れた。
悪い奴に勝ったら、必ずお前達を向かってに行く………。
クロフォード王国から逃げ、共和国に暮らしてからは1年の年月が流れる。シェバは父の言葉を信じて日々、迎えにくる光景を待っていた。
時刻は朝、昼に入る寸前で季節は夏。
生活は主に農作業で、トウモロコシとトマト、なすびといった作物だ。渇いた地面と木製の家屋が並ぶ集落である。上流から川が流れ、自分とは年下の子供達が無邪気にバシャバシャして跳ねて遊んでいる。
「よいしょ………よいしょ………」
小さなシェバは額から汗を流し、カゴに入った野菜を運び、集積に来た馬車の荷台に置く。シェバは子供だが、母親と一緒に働いており、負担が大きいので筋肉痛だ………そして黒髪、不精ヒゲを生やし、作業服を着た男性が大きな手で持ち、次々と積み込んでいく。
「はい、ご苦労様」
作業服を着たの不精ヒゲの男性は、お金が入った麻袋をシェバに手渡す。
「ありがとう、おじさん」と、シェバはペコリと頭を下げ、馬車の前から立ち去るのである。作業服の男性は手を振り、愛想よく見送る。
すると黒いマント、フェイスマスクを着た3名の人物が作業服の男性に駆け寄り、ヒソヒソと耳打ちをする。作業服の男性は小さなシェバの方を見てヒソヒソと笑い、見つめている。
───夜、静まり返った農村。煙突からモクモクと登る煙、そして道端を歩く野良犬と猫。
夜の道を………フェイスマスクを被り、黒いマントを着た人物が歩く。立ち止まるドアの入り口前、そこはシェバと母親が住む家屋。
一方、中では………。
「パパ、いつになれば迎えに来るの?」
「シェバが良い子にしていたら、すぐに迎えに来るわよ」
母親のサリアはニコニコと言った。ちなみにこの頃の王国は、戦況がさらに激化しており、王国を行き交いしているブローカーの情報では、旦那のスアレスは反対派のリーダーに就任したのは知っている。娘にはこの事は伝えていない。
そのとき、黒いマントを着た人物はドアに足を蹴り入れ、突入して来た。
「誰なのアナタたちっ!!」
サリアは叫ぶ。
「ママっ!!」
いきなりの事で泣き叫ぶシェバの頭を、力強く取り押さえる黒いマントの人物。すると、黒いマントの人物は刃を抜き、サリアに振り下ろした。
叫ぶ暇なく、力無く倒れるサリア。床にはおびただしい血が広がる………。
「ママ………ママぁっ!!」
こうしてシェバは母親を殺され、謎の武装集団に連れて行かれる。




