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第53話 油断した所で

 


 一方、メルディはミリアを追跡。


「貴様ッ!!逃げるなッ!!」


 本棚に隠れながらダッシュするミリアをメルディは怒号を響かせながら追いかける。幾つか広がるフワフワと浮遊する本棚を潜り抜けつつ彼女を視界からマークする。

 状況はまるで鬼ごっこである。


 そして………。


「どこに隠れた………」


 メルディは辺りを眺める。フワフワと浮遊し、館内に広がる無数の本棚の中、ミリアを見失ってしまった。正直、コケにしてくれたな……とイラッとしたが、正面からの戦いは得意。しかし自分の本来の素質は闇討ち、隠れて油断している所に不意打ちにするのが戦術だ。

 

 まんまとワタシの戦場に足を踏み入れたな………隠れて安心して、愚かね………。


 メルディはギラリと瞳を光らせ、獲物を狙う猛獣のような笑みを浮かべる。


「気づいていないようね………」


 1台の魔法書物の本棚に身を隠し、気配と息を殺し、ミリアはメルディの様子を眺める。

 メルディはミリアから見て、後ろ向きの体勢。 

 気配を消し、油断した所で………。


「おいっ」


 背後から声。ミリアが振り向いた同時、メルディはギラリと刃を輝かせ、両手のショートソードを振るう。


「ぐっ………何で?」


 ミリアは咄嗟に察知し、ショートソードで受け止め、後ろの魔法書物の本棚に背中を衝突。本棚から書物が飛び出し、散らかる。後ろを向いていたのに、どうして自分の背後に移動しているの………。


「これ、私の魔法。疑似人形ダミードールよ」


 メルディはスッと詠唱。ミリアの元まで歩み去り、1体の自分のコピーを親切に出現させる。自身の魔法は疑似人形ダミードールを出現させてターゲットが騙されて姿を現した所を………。


「へっ………」


 ミリアは疑似人形ダミードールを見て、驚愕。


「ちなみに声を出したのは、私の優しさ………本来なら声を出さず、殺していた所よ。何故なら、生かさず、死なさず、殺してあげる………」


 メルディは冷たい表情を浮かべてショートソードをミリアの足元、腕に狙いを定め、急所外を選択。


「ナメないで下さいッ!!」


 ミリアはショートソードを構え、駆ける。


「遅いってのッ………」

  

 メルディは左にスッと身体を反らし、ミリアのショートソードを避ける。

 同時に左手のショートソードを振るう。剣閃の早さはキラリとした閃光のように………。

 

「ぐっ………」


 ミリアはショートソードで受け止め、後退。

 まるで太刀筋が見えない………どうすれば………。対処出来なければ、死ぬ。冷や汗が額から流れ、ブルブルと身体が震え上がる。


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