劇場版ストーリー22
───その頃、アレックス達から離れた場所にて戦闘を繰り広げていた………。
「ふぅ………これは骨が折れそうです………」
額から汗を流し、ミリアはショートソードを構え、敵モンスターに取り囲まれていた。一方のミリアと小さな翼達はリザードナイトと鳥龍の群れを相手していた。数において、リザードナイトが10体と鳥龍が20体。
「ミリア、がんばろー。そしてかえったら、ゴハンたべよ?ゴハン?」
小さな翼はニコッと視線を向け、微笑みかける。そしてミリアは、小さな翼の微笑みに答える。
「うん………帰ったら、美味しい料理をお腹いっぱい、たくさん食べようね?」
「わ~い、アレックスのおごり、アレックスのおごりっ!!」
小さな翼は両手を挙げ、歓喜を上げる。
(アレックスさん………御愁傷様です)
ミリアは苦笑い。酒場にて、財布崩壊されて号泣するアレックスの姿が思い浮かぶ。
(さて、ミリアさんの実力を拝見させてもらいますね………)
アンゼシカは隆起した岩肌に隠れ、ミリア達を見守る。何故なら私は物語におけるサポート役だから………けど、いざとなればミリアさんを守るのみである…………。
───リザードナイトの群れ、鳥龍は一斉に威嚇の声を上げ、ぶんぶんと尻尾をバタつかせる。そして………襲い掛かる。
(落ち着いて………ミリア・ミア・シュバルツ。メルディ将軍とそして、アンゼシカお姉様とのトレーニングの日々を………)
ミリアは全身の力を抜き、瞳を閉じる。記憶の中で巡らせる………メルディ将軍との手合わせを思い出す。
★★★★★★
それは1年間前、城の修練場………。ソフィアとのトレーニング中での出来事だ。
「ミリアさま、アナタは剣を振るう時、少し力を入れ過ぎです………よいですか?剣というものは力で振るうものではないのです。剣たるもの、全身一体として振るうのです」
ソフィアはロングソードを鞘に納め、冷静な表情でアドバイスをする。
★★★★★★
(剣たるもの、全身一体として振るう………)
ミリアは、訓練場で言っていたメルディのアドバイスを思い出す。そして、一斉に襲い掛かるリザードナイトの群れを紙一重の動きで回避していく。
(おや、ミリアさん………凄いレベルの動きですね?………)
隆起した岩肌から、アンゼシカは眺め、ミリアの動きに驚愕する。まるで1つ1つの動きが見えているかのように………。
───ミリアはショートソードを片手で構え、そして迷いなく振るう。同時に響かせるのは肉を斬らせる斬撃の音、空中に血が広がり、ポタポタと地面に滴り落ちる。




