劇場版ストーリー19
「抜け出して来たって………」
ミリアの言葉に、アンゼシカは困った用意でポリポリと頬を掻く。何故なら王国に残して来た将軍のソフィアに頼まれているのに………。
一方のミリア………ベッドから起き上がり、アンゼシカを見て、身体を左右に揺らしてニコニコしている。
「その………ミリアさん?共和国政府には許可は取っていますか?」
アンゼシカはベッドの上から足を伸ばして座り、恐る恐る尋ねる。彼女の質問に、ミリアは答える。
「う~ん………皆が寝静まっている時、こっそり抜けて来たので、許可は取ってませんね………」
テヘッと、自分の頭をポカっと叩き、ミリアは微笑む。
「あららら………」と、ミリアの答えにアンゼシカはガクッと身を屈ませ、困惑する。今頃、客室から行方を眩ませたミリアに、共和国政府はパニックになっているだろう。
まったく、幾つになっても困った娘である………。
「さて、マスク・ド・aさま?………」
ミリアはドンっと、アンゼシカに顔を近づかせる。
「はい、何でしょう?………」
その差はわずか数センチ、顔がとても近い………。ミリアの圧に、アンゼシカは困惑した笑みを漏らし、身体を後ろに反らす。
数秒間の沈黙………そしてミリアは再び口を開く。
「イチャイチャしましょ、朝まで?」
「朝までイチャイチャって………その、ミリアさん?」
いつものミリアによるアプローチに、困り果ててしまうアンゼシカ。
「さ、マスク・ド・a様。お互い愛を確かめ合いましょう?」
ミリアはアンゼシカの左側に回って左腕を組み、胸を当ててアプローチ。
「ぎゃっ」と、ミリアは後ろの首襟をグイッと掴まれ、変な声を出してアンゼシカのベッドから引き離される。
「まったく、アナタという泥棒猫は、油断も隙もありませんね?」
正体は絵葉。
「またアナタですか?………アナタというメス猿はいつも盛りに盛ってキィーキィーと喚いていればいいんですよ。私の楽しみを邪魔をしないでください」
「誰がメス猿ですか?………私はせんぱいにおける忠実な後輩です………せんぱいとイチャイチャするのは、この私です」
ミリアと絵葉はガシッと両手を掴み合い、ぷるぷると表情を険しくさせてにらみ合う。
「いえ、マスク・ド・a様とイチャイチャするのは、この私ですから」
ミリアはぐっと絵葉に至近距離で睨み付け、訴えるのである。
───それから………夜の部屋にてミリアと絵葉はアンゼシカへのイチャイチャ権を巡り、怒声を響かせて対立する。
(もうバカバカしい………寝よう)
アンゼシカは布団を被り、対立しているミリアと絵葉を他所に、就寝する。




