劇場版ストーリー18
「うっ………この感じは?」
───まさか、この気配は………夜の寝室にてアンゼシカの背筋に、あの感覚が蘇る。いやバカな、彼女は共和国政府の客室にいるハズだ。
それは3時間前、冒険者ギルドの酒場にて晩飯を頂いた後の出来事だった………。
アレックス達はシェバに政府貸し切りの宿屋を紹介され、足を運んでいく。ミリアと言えば国際的な客人扱いの為、共和国政府が用意した警備の高い客室にて宿泊する事になっている。
そしてアンゼシカは一応、彼女に伝えておくのである。場所は冒険者ギルドの入り口前。
「ミリアさん、共和国にまで来て迷惑を掛けるのはダメですよ」
私は腕を組み、彼女に言った。ちなみにこの私、ソフィア将軍から「あのバカ姫を頼む………言う事を聞かないならゲンコツもしてもよい」と、頼まれている。
王族に対して、ゲンコツは少しやり過ぎなんでは………と、アンゼシカは困惑して苦笑いを浮かべる。私はそんな事はしないけど………。もし、彼女が行方不明になれば共和国政府にとって国際問題になる。それにテログループが町中にまでうろうろしており、何かあったは私達も心配だから………。
「出来る限り、努力をさせて頂きます」
ミリアは頭を下げ、礼儀正しく言った。姿勢は正直だけど、ちょっと心配だな………。
「うむ、分かれば良いのだよ」と、アンゼシカは頭を撫でてクールな微笑みで褒める。
「なら、マスク・ド・a様も私と一瞬の部屋にしてもらう為、今から首相関係者に………」
「いやいや………大変、魅力的でもあるけど君は王族で、共和国にとって国際的な客人だ。そこはしっかりとした警備に守られた客室で、過ごした方がいい」
ミリアはキラキラした表情を浮かべ、誘いにくるが、アンゼシカはスッとやり過ごす。ちなみに共和国政府が用意した客室は警備レベルが厳重で、ミリアがそこに宿泊している情報は、リチャード首相が最も信頼している関係者でしか耳に入っておらず、テログループと繋がった工作員に情報が流される心配はないだろう………との事だ。
ミリアは複数の共和国警備兵に付き添われ、客室に向かって行くのである。
そして………気配がする場所、部屋の窓に視線を向けるが、誰もいない。
「気のせいか………」と、視線を戻す私。
「こんばんは、マスク・ド・aさま」
「って、ミリアさんっ!!」
アンゼシカはびっくりして飛び起きる。何と自身の横に、一体どうやって忍び込んで来たのか?ミリアが寝転んでいた。
「ヘヘヘへ、客室を抜け出して来ちゃいました………」
ミリアは頭をポリポリと掻いて言った。




