劇場版ストーリー15
───そして、無事に採取クエストを終え、首都バーモントの冒険者ギルドに戻るミリア達であった。共和国の冒険者ギルドのクエストデビューにしては上出来だと、評価したい。この調子で、テロリストせん滅まで順調に向かいたい所だ………。
★★★★★★
時刻は夕方、冒険者ギルドの酒場にてアレックスはクエストで起こった事態の内容を説明した………。
「(新政府バロム)の工作員がクエスト中に現れたのですか?」
「ああ、無血で追い払ったが、気合いの入った奴らばかりだから、また来るだろう。あと、奴らに俺らのクエストメンバーの情報が知り渡っていた」
「クエストメンバーの情報が………まさか、ギルドにも内通者がいたなんて………コチラも最大限に気をつけます」
シェバは苦い表情を浮かべる。
「ああ、そうしてくれ」
「あと………」
シェバは後ろめたく説明する。その話に、アレックスは驚愕した。
「えっ?………報酬がゼ………ゼロだと?」
「はい、申し訳ございませんが…………そこにいる小さな翼様の特殊な技によってあそこにいる動物と生成している植物が腐り果ててしまって、薬草やキノコが採取出来ない為、あとアレックス様の状態異常の治療費と合わせての損害になります。今回の問題を踏まえて考慮しても足りないかと………」
受付テーブルをドンっと叩くアレックスにサポート役のシェバは、小さな翼にチラチラ視線を向け、申し訳ない様子で微笑む。
「踏まえても足りないって?………はぁあああああ………」
アレックスは、受付テーブルにてうつ向き、ため息を吐くのである。するとシェバは言う。
「ですが、心配ありません。その費用に関しましては、共和国首相リチャード・ルーガンが負担しますと仰ってました」
「えっ?本当か?」
シェバの救いの言葉にアレックスは受付テーブルを叩き、再びシェバに質問する。シェバは説明する。
「はい、アナタ方は国際レベルのクエストを受注しており、その依頼主はリチャード・ルーガン首相となっており、その際に発生した費用や損害はこちらで負担しますとの契約となっています」
「そうか………よかった」
「ですが、申し訳ありませんが、報酬ゼロは変わりありません」
「ははは、ですよね?………」
報酬ゼロと言われ、アレックスは落ち込む。仕方ないことだけど………。
★★★★★★
話を終えたアレックスと小さな翼は受付テーブルから立ち退き、ミリア達が座っているテーブルに向かう。
「私のせい?」
「いや、違う。気にするな………あと、臭い息はしばらくは禁止な?」
アレックスは小さな翼の頭を撫でる。




