劇場版ストーリー11
(あれ?誰かいるようね…………)
アンゼシカはアレックスの達が座るテーブルにて、一緒に座っているのは褐色肌の女性に視線を移す。年齢は20代前半、スラッとした黒髪ロングに冷静な青い瞳、麻色のフード付きの長袖の服に、黒いスカート。
女性はイスから立ち上がる。
「はじめまして………私はシェバ・ハメドと言います。この共和国で冒険者活動する際、皆様のサポート役として参ります」
と、女性は自己紹介する。
(凄い綺麗な女性ね…………しかし、本当に彼女はサポート役だけなのかしら?それに、あの髪の色や雰囲気に何処か見覚えがあるような………)
アンゼシカは思い浮かべ………そして、何か引っ掛かるような感じで、シェバをじっと眺める。黒髪で褐色清楚な女性に、思わず見惚れてしまうアンゼシカである。前世での私とは大違いだ………。
するとシェバは、アンゼシカの視線に気付き、彼女に向けてクスクスと微笑み掛け、大人の魅力を醸し出してくる。
ミリア、シェバをジッと眺めているアンゼシカの腕を組み、嫉妬深そうに表情を曇らせて言うのである。
「ちょっとマスク・ド・a様………」
ミリアがぷくっと頬を、赤くなったリンゴのように膨らませ、アンゼシカを見つめてくる。
「ミリアさん?………これはだね………」
何処か黒白い嫉妬のオーラを醸し出しているミリアのアプローチに、思わずアンゼシカは困惑してしまう。それに腕を組んでくる力が強い、気持ち的には浮気を疑われた旦那だ………。
「私と言うものがいるのに、マスク・ド・a様は他の女性に目移りするんだ………」
アンゼシカから後ろ向き、不貞腐れた様子で体育座り。そして嫉妬によりブツブツと嘆き掛けるのである。
「ミリア様………」
ミリアの様子に、アンゼシカはさらに困惑する。するとシェバは言う。
「アナタの事は聞いてますよ、確かマスク・ド・aさんでしたか?ミリアさんを影から守る騎士のような人だと?」
「まぁ………そんな感じです。隠れていても、バレてしまいますけど」
アンゼシカは微笑み、ポリポリと頭を掻いて答える。もう、慣れた事だけど………。
───その後、アンゼシカは(もう他の女性は見ないから………)と、ミリアに謝り、何とか機嫌を取り出した。そして………アレックスは精算所にて、機嫌を取り戻したミリアに土下座していた。何故なら小さな翼が食べた飲食代により、財布を破壊したからだ。
「それなら、私がお支払いします………」
シェバは嫌な顔をせずにミリアの前に立ち、財布を取り出して代わりに飲食代を支払うのである。




