第51話 黒いコートの女性
「おや、どうしましたミリアさん」
とある本棚に整えられている書物を手に取ってページをめくり、デビッドは隣でキョロキョロしているミリアに尋ねる。
ミリアはポリポリと頭を掻いて………。
「………その、マスク・ド・a様の姿が見えなくて」
ミリアは答える。何故なら得意の察知能力を持ってしても、マスク・ド・aの気配がしないからだ。
「………今ですね、アナタに掛かっている呪いの解呪方法を探しているのですよ。今は彼女の事でムラムラしているヒマは無くて?」
「ムラムラなんて………デビッドさん、結構意地悪な言葉を使いますね?」
「なら、ちゃんと探しましょう。これ、私がチョイスした書物です、読んでみて下さい」
デビッドは涼しい言葉で3冊の書物をミリアに手渡す。宗教学、魔法学、薬学。など、頭おかしくならない程度かつ色々と知識が身につく書物である。
────ッ!!
ミリアは危機察知。右側から急速に接近してきた浮遊本棚を横に跳び、回避。
「挨拶代わりだ。避けられなかったら笑っている所よ………」
2人の前に現れたのは黒いコートの人物。性別は口調振りでは女性である。
「アナタは……」
「例の反民族支配主義の方ですか?」
デビッドは魔法杖を構える。
「そうよ、私達は王国の民族支配に反対する為、戦っている。この魔法図書館は王国学、民族支配を正当化する資料を数多く所有する施設とし、破壊しに来たっ」
黒いコートの女性は、両手の振り袖からショートソードをスッと抜く。
同時に………図書館中に爆発の音、逃げ惑う一般市民の声がジリジリと響かせ、ミリアとデビッドの足元が揺れる。
「我が同士達が爆破を開始したようね。さて、アナタ達はどうする?」
「こんな事をして………王国が東部を中心に軍事力がアップしているのは知っているのですか?テロ行為をしても、アナタ方は………」
デビッドは言った。
「知っている。しかし、我が民族支配を抗議し、政策を止める為なら、死は怖くないっ!!」
デビッドのセリフに黒いコートの女性は両手にショートソードを構え、覚悟の主張。彼女らも民族支配政策の被害者であり、両親や友達、そして同志。数多くの仲間を失ったからだ。
「なら、私はアナタを止めるっ」
ミリアはショートソードを片手で構える。これまで、数々の場数を踏んできた。それなりの風格、実力はアップした。それに、自身が止められなかった民族支配政策と向き合う必要があるからだ。
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