劇場版ストーリー9
───首相との秘密会談を終え、ミリアとアンゼシカはメインストリートを歩いていた。次々と通り過ぎる石造りの建造物、景観が良い為か一件一件の建造物の全てが芸術レベルだ。
(…………)
ミリアは沈黙する。リチャード首相から聞いた敵の情報とそして今、発生している事態の重大さを………。
───それは1時間前、応接室にてソレは説明された。
「共和国政府の中にも、テログループのスパイがいるんですか?」
リチャード首相は言う。
「そうです。テログループが反政府運動している場所に軍隊を派遣しても、奴らはそれを知っているかのように兵力を増やしたり、こちらに対して巧みな戦術を発揮したり、かなり苦戦を強いられています」
ミリアの質問に、リチャード首相は苦虫を噛み潰したように身体を震わせ、答える。
「それは………」
「あと、共和国が敷いていた国家間の交易ルートが彼らに襲撃され、相手国にも不利益を発生させてしまった」
リチャード首相は言った。するとミリアが続けて口を開く。
「つまり、軍隊を派遣しても筒抜けている情報により対処されてしまう。同時に国の予算を損害させる様々な機密情報も彼等に渡っており、国家間の関係を悪くさせて政府の責任を突き付ける流れでしょうか?」
「お恥ずかしいながら………なので国際レベルのギルドの依頼として、アナタ方に要請したのです」
ミリアの痛い指摘に、リチャード首相は溜め息を吐く。冒険者ギルドの依頼なら、裏でテログループと内通している議員の影響も受けにくい。リチャード首相は、裏でテログループと内通している議員の調査を知り合いの議員に依頼したが、行方不明になったの事だ。
「このままでは、我が共和国は治安は悪化し、国際関係にある国々から断交され、(新政府バロム)は影響力は拡大してしまいます………改めてお願いします、力を貸して下さい」
頭を下げて頼み込むリチャード首相。
「はい、任せて下さい。我がクロフォード王国はノーザンブリア共和国に今まで、たくさんの迷惑をかけていました。それに王国の元テロ工作員が奴らに加わっていたなら、黙ってはおけません」
(何か、怖い話を聞いてしまったような………)
リチャード首相の話に、ポリポリと頬を掻いて恐怖を覚えるアンゼシカ。前世にて昔、ドキュメンタリー番組で海外のマフィアやギャングの特集を思い出し、日本で生まれて良かったと実感するのだった。
───とりあえず、首都の冒険者ギルドに足を運んでアレックス達に説明の必要がある。場所は東のメインストリートにあるらしい。




