劇場版ストーリー6
───あれは3時間前、ミリアは過去の修羅場を共に乗り超えた仲間達を謁見の間に呼び出し、事の説明をする為、集めていた。もちろん、私も含めて。
「ひさしぶりだな………って、何かお疲れみたいだな?」
アレックスは苦笑いを浮かべて言う。
「何がですか?」
ミリアは言う。
「いや、お前じゃなくて、メルディの方が、な…………」
アレックスの視線の先にはクマを浮かばせたメルディ将軍が、玉座に座るミリアの隣に立っていた。理由は深夜にこっそりと抜け出したミリアに、こってり説教したからだ。国王陛下としての品格や迷惑など色々と、しかし、説教して参るほど、ミリアの心の中にあるマスク・ド・a様の愛は揺るがない。
「ま、それはさておき………俺達を呼び出したのに理由があるんじゃないか?」
ミリアの様子に困惑しながらも、アレックスは尋ねる。
「はい、皆さんを呼び出したのは他にありません。実は隣国であるノーザンブリア共和国の首相から私宛に要請があったのです」
「共和国から?一体どうして?」
ミリアの言葉に、アレックスは驚きを隠せない。
「はい、共和国では現在、かつての我が王国のようにテロリストが暗躍し、幾つもの破壊活動が国内で発生しています。王国のような民族支配反対運動ではなく、理由なき破壊工作と人道外れた所業です。そのテロリストの中に、かつて王国で反民族支配政策のテロリストの残党が加入し、共和国でテロ活動しているとの報告がありました」
「つまり、王国のテログループの生き残りが、共和国のテログループに加入して破壊活動しているから、王国は責任として協力してくださいと?」
「はい、ですがコレは軍事要請ではなく、あくまでも共和国政府から私宛てを経由して要請されたギルドの依頼です」
「ギルドの依頼だと?」
アレックスはビックリする。ビックリの理由はギルドの依頼レベルだ。ギルドの依頼において、この手の依頼は国際級のレベルだ。前に依頼を受けた火山開拓とは、比べ物にならない。
「私はこの責任を取り、マスク・ド・a様と一緒に王国代表として参加します。アレックスさん達はどうですか?」
「どうってな…………」
アレックスは考える。何故なら国際級のレベルの依頼は初めてだ。
(私も入っているんだ…………)
アンゼシカは軽く笑う。
「アレックスさん?…………」と、ミリアは笑顔で悩むアレックスに圧を掛けるのである。
少しの間のあと、アレックスは口を開いて答えを出す。
「………仕方ないな、参加してやるよ。ミリアだけ行かせて、俺らが留守番なんて筋がとおらないからな」




