劇場版ストーリー4
───場所はアパルメントの外。
「深夜に、陛下が申し訳ありません」
メルディ将軍は深々と頭を下げる。
「ええ、構いません。アナタもこの時間帯に、ご苦労様」と、アンゼシカは言った。
「さて、帰りましょう。ミリア様?」
何処かおっかないオーラを発揮し、メルディ将軍はミリアの首袖をぐっと引っ張り、引きずって連れ出して行く。こう見えて、メルディは怒っている。何故なら城にて、アルフレッド陛下がミリアがいないと騒動があり、寝ている時にこのド深夜に呼び出され、捜索に駆り出されたのだ。
「メルディ………あと少しだけ、お願い?」
「黙れっ」
ミリアのお願いをあっさりと一蹴するメルディ将軍。ド深夜に叩き起こされた為、めちゃくちゃ機嫌が悪いのだ。
「ちょっと、女王陛下だから、もっと優しく……………」
「ミリア女王陛下、あとで説教です」
「いや~~~~マスク・ド・aさまぁ~~~~」
メルディに、ズルズルと引きずられていくミリア。深夜のこの地区に、女王陛下ミリアの断末魔が響き渡るのである。
「あはははは…………御愁傷様」と、アンゼシカは手を振って見送る。
「ふん………おっぱい娘には、お似合いの連行劇ですの。ザマァみろですの」
絵葉は連れていかれるミリアに、ケタケタと笑って見送る。
「アンタね…………」
「ドナドナド~ナ、ド~ナ~~………子牛を乗せてぇ~~~~」
「ミリアさんを子牛に例えるんじゃないの」
と、苦言を呈する。懐かしい童話ではあるものの、今のミリアにはこの状況にピッタリだ。
───中谷絵葉。前世の世界にて、高校生2年生の頃に出会った眼鏡っ娘の後輩であり、親友だ………。出会いは某フランチャイズチェーンのレンタルビデオショップにて、同じDVDを借りようとしていた所だ。性格はハイテンションで私へのスキンシップが激しいのが難点だ。
「へへ………何ですか?せんぱい?」
など、可愛い所もあるから憎めない。
少しだけ、静かな間。再びアンゼシカは口を開いて尋ねる。
「あのさ、アンタは知っている?劇場版のMILIAの事を?」
「劇場版MILIAの事ですか?…………そんな情報、初めて聞きました」
絵葉は言った。
「アンタは知らないの?………夢で見たのは私だけか」
意外な答えに、アンゼシカは困惑する。知っていたら対策しようがあったのだが…………。なお、あの夢は劇場版のプロモーションビデオ程度で、物語の内容は詳しくは知らない。
───とにかく今は考えても仕方ない………とりあえず、寝よう。今は深夜なので、眠たくて仕方ない。今頃、説教されるミリアは心配だけど…………。




