劇場版ストーリー3
───そして………外から窓を潜り抜け、アンゼシカの部屋に侵入したミリアは、いつもの(お決まり)が始まるのである。
「さ、マスク・ド・a様。イチャイチャしましょ?」
「えっ?こんな夜更けにでしょうか?」
腕を組み、その大きな乳房を押し当ててアプローチを掛けてくるミリアに、アンゼシカは頬をポリポリと掻いて恥ずかしながら困惑してしまう。
「くぉら、この泥棒猫っ。こんな深夜に、夜這いを掛けるなんて、非常識ですよっ!!」
空中に現れたのは中谷絵葉と言う光の球。
「誰が、泥棒猫ですか?そんなアナタはキィーキィーうるさい盛りのついたメスザルじゃございませんこと?」
ミリアはい~っと、光の球である中谷絵葉をぐっと睨み付ける。
「盛ってませんよ、盛っているのはアナタじゃありませんか?」
光の球は人型に変身し、威嚇する猫のように髪を逆立たせ、ミリアをむっと睨み付けて返す。
「失礼ですね、私は盛りと言う汚らわしい行為はしていません。私はただ、マスク・ド・a様に害が及ばないように、こうして偵察に来ていたのです」
ミリアは言った。
(ミリアさん。その理由は、少し無理がありそうな気がするけど………)と、アンゼシカは呆れ顔を覗かせる。
「ハァ?女王陛下が直々ですか?人が寝静まったこの時間帯に、部屋で寝ていたアナタがトイレから帰ってくる時に寝ぼけたままでいきなり外から入って来て腕を組んで………これが偵察と言えますか?」
絵葉は睨み返す。
「うぬぬぬぬ………」と、ミリアは涙を流しそうな瞳を覗かせ、悔しそうに言葉を詰まらせる。何故ならこのメスザル(えば)の言っていることは本当の事だ。このメスザル、何処からどこまで知っているのだ?と、問い詰めたくなる。
(図星を突かれたみたいねミリアさん)
アンゼシカは哀れに見るように微笑む。すると、窓際にて赤いオーラが漂い、思わずアンゼシカは再び窓に視線を移す。
「……………ミリア女王陛下、アナタはこんな時間帯に何をしているのですか?」
おっかないオーラを漂わせ、そこにいたのは木の葉色のショートヘアーにキリッとした瞳の女性剣士、メルディ・ディアス将軍。
「げっ、メルディ…………」と、思わずミリアは露骨にしかめっ面になる。何故ならミリア、メルディが苦手だ。いつもキリッとしていて優しくないし、冗談が通じないからだ。
───つい、この間までは彼女は反民族支配主義と言うテロリストだった。王国とは戦争状態だったが、最後はミリア達と協力し、黒幕を打ち倒した同胞だ。戦争終了後、ミリアの打診により彼女は将軍職に就任した。




