第4話 彼女の名前はミリア
───〈北東部・森林地帯〉───
1人の少女は、薬草を採取していた。サラッとした金髪ロングヘアー、愛らしい瞳。年齢は15歳。衣装はフード付きの長袖服、下はスカート、足はブーツ。彼女の名前はミリア・ミア・シュヴァルツ。元クロフォード王国の姫君。それは3日前、城から追放された王女であり、今では中央都市アフタヌーンにて冒険者ギルドに登録し、こうして仕事を受けている。
森林に囲まれた広地、畑のように草花が生い茂っており、今は採取の依頼である。
額からジワリと流れる気持ちいい汗を片手で払い………。
「こんな感じかな………」
ミリアはカゴに入った白銀の薬草を眺め、満足な様子を浮かべる。薬草の名称は(エステルの薬草)。(エステルの薬草)は主に傷薬の材料として使われ、必要な医療薬の資源である。採取の依頼料は300SV。シルバーはこの国の通貨単位を意味している。
そよ風が草花をユラユラと広がり、ミリアが被っているフードが外れ、自慢の金髪ロングヘアーが1本、1本の宝石のように輝き、揺らしている。
さて、そろそろ帰ろうかな………。と、立ち上がり、町に帰る準備をするミリア。
───ッ!!
その時………森林の茂みから何かが出現した。体長3メートルのトカゲの戦士、1体、2体、3体、4体のリザードナイトがゾロゾロと出現。恐らくこの地帯はリザードナイトのテリトリーである。装備は刃身が少し錆びた曲刀、侵入者を認識した様子でミリアを睨み付ける。リザードナイトは縄張り意識が強く、テリトリーに侵入してきた者には容赦はしない。対処法はテリトリーから離れる事だが、奴らのスピードは早く、離れる前に殺されてしまうのが殆どだ。
ミリアをギロっと表情を凄ませてにらみ付けるリザードナイト達。この状況では、逃走は不可能に近い。
しかし、今は迷っている場合ではない。
(やるしか、ない………)
───ミリアは直ぐに決心した。腰元に装備した家宝のショートソードを抜き、片手で構える。小さい頃や現在に至る頃、城では剣術、魔法、格闘などの戦闘訓練や王国学などを勉強した。戦いの実力には自信はある。
何故か分からないが城から追放された為、誰も守ってはくれない。少し厳しいかもしれないが、自分の身は自分で守るしかない。
───ッ!!
その時、4体のリザードナイトの身体中に赤黒い炎が音を響かせて燃え盛り、斬り倒される。草花の地面はパキパキと小さく燃え盛り、次に黒い異形が地面を踏み鳴らし、出現した。
読んで頂きありがとうございます。読んでみて気に入ればブックマーク、評価ポイント、感想をお願いいたします。