EXストーリー44
───そして、モンスター達を石化し、撃破を果たしたミリア達は空中通路を駆け走る。
「はいっ」
光の玉状態として、メンバーのサポート役の絵葉は、空中をフワフワと浮遊している遺跡通路、もしくは廃屋を繋げていた。
すると、サウルは反応する。
「素材、ゲットっ」
サウルはガレキの廃屋に駆け付け、宝箱に入った素材を入手。それは盗賊の本能であり、異空間と化したダンジョンは未知の素材がある為、思わず取りに行くのだ。
「また現れましたか…………」
「ふむ、骨が折れますね」
デビッドは杖を、ロメロは拳を構える。
遺跡通路を走っていたら、地面から詠唱陣を描き、モンスターが出現。
(……………………)
それはヒト型のモンスター。数は10体、白い神官服に身を包み、フードから覗かせる顔からは赤い瞳、いわゆる亡霊。ブツブツと嘆き声、メイスを構える。
「私、中谷絵葉。花言葉はハナスベリヒユ、いつも元気で少しだけ落ち込んだりする普通の女の子、役に立ちますよぉ~~~っ!!」
絵葉は張り切って詠唱し、デビッドとロメロに、詠唱上昇と、速度上昇の付与魔導術を発揮し、能力アップさせる。
「はっ!!」
能力アップしたロメロは、10体の亡霊に狙いを定め、疾風の速さで拳撃を振り上げ、叩き上げる。
空中に叩き上げられる10体の亡霊達に、その隙にデビッドは高速で唱える。
「聖なる雨」
上空に白い詠唱陣を描き、そこから白銀の光が降り注ぎ、10体の亡霊に浴びせられる。
白銀の光を浴びせられた亡霊達は、断末魔の叫び声を響かせ、浄化。
デビッドは説明する…………。
「今のは、本来は戦闘不能になった仲間を回復する魔導術です。彼らは霊属性であり、おアンデッドや悪魔には効果抜群です」
ああ…………かんしゃ…………する、名も知らぬモノ達よ。
「何だ?」
空間に響かせる謎の声に、アレックスは辺りを眺める。
「気にする必要ありません、亡霊タイプのモンスターは、この世に未練を残した魂が集合した形です。倒されて解放されて、感謝しているのでしょう…………」
デビッドは言った。
ああ、苦しい…………タスケテ…………。
「えっ?」
聞こえてきた声に、ミリアは反応する。何故ならこの声は、自身の夢の中と昼間、ベースキャンプにいる時に聞こえてきた女性の声である。
ワタシは…………ワタシは…………ああ、■■■■■■さま…………。
「昼間に聞こえてきた女性の声ですね…………しかし、昼間と違って苦しそうですね」
光の玉状態の絵葉は言う。
「とりあえず、先に進みましょう」
ミリアは言った。そして、空中移動により繋げられる遺跡通路を、皆は走る。




