EXストーリー43
───黒渦の道を駆け抜け、そして広い場所にたどり着くメンバー達。
皆は眺め、言葉が見つからない。そこは異空間、まるで夕焼け、あとは苦痛を訴えるような叫び声が響き渡り、一言で言えば不安定を表したように歪みきった赤い景色、空中をフワフワと浮遊している通路、遺跡と化した建物。
肌を刺すような感覚に、アレックスはこの景色を眺め、例える。
「これは一体…………火山地帯の中とは思えないな…………。アレだな、ついこの間、異空間と化した城の中に似ているな」
「はい、あの時の状況とは似ているけど…………」
「けど、何だ?」
アレックスは尋ねる。
「何だか、苦しそうな…………まるで助けを求めているような…………」
ミリアは額に指を押さえ、推測する。
ミリアの言葉に、するとデビッドは言う…………。
「確かに、この空間からは負の感情が込もっています。魔力はその魔導師の自身であり、資質でもあります。おそらくですけど…………」
「ま、とりあえず行ってみたら分かるだろ?。行こうぜ、みんなっ」
アレックスは率いるように、走る。
「もう、アレックスさんったら…………」
話を遮られ、デビッドはムスッとした様子を浮かべるのである…………。皆は「おおっ」と、掛け声をあげ、アレックスの後を追いかける。
───皆は異空間の通路を走る。空中をフワフワと浮遊する遺跡通路が反応するかのように、皆の前に次々と空中移動して駆け付ける。
そのとき…………皆は気配を察し、思わず立ち止まる。何故なら目の前に出現したのはモンスターのグループ…………修道ローブを着用した骸骨僧兵が5体、それと青い炎を宿した悪霊が3体が、地面に詠唱陣を描き、現れる。
「くそ、やっぱり現れたかっ」
アレックスはロングソードを構える。
「みんな、まかせてなのっ!!」
突然、小さな翼が前に立ち、名乗りを上げる。
「何だ、臭い息か?」と、アレックスは問う。
アレックスの問いに、皆は(うっ…………)と、冷や汗を流して困惑するのである。もう、臭い息は勘弁して欲しいからだ。
「違うよ、使うのは…………敵を石にする息、石化の息吹きなのっ!!」
少女姿の小さな翼は大きな口を開き、息を吸い込む。
「数ヶ月前、バジリスクを食べて覚えた技か?」
アレックスは思い出す。
そしてぶはぁ~~と、吐く。
───彼女の口から放出される灰色の塵、それは石化の息吹き。灰色の塵はモンスター達を一斉に包み込み、パキっ…………と音を響かせ、石化するのである。
「ふぅ…………」
小さな翼は軽くゲップし、息を整える。目の前に広がるのは、石化したモンスター達のオブジェである。




