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EXストーリー36




 ミリアはスッと手を伸ばし、ヒスイカズラの蕾部分に手を当てる。この花は限られた環境でしか育たない為、野生で見れるのは大変、珍しいとのこと。


 するとミリアは言う。 


「むかし、庭園で偶然この花を見つけた事があって、その季節は湿度が大変な梅雨で、初めて見た時は少し不気味な感じでした」


「不気味な感じ?」


 と、アンゼシカ(真美)。再び彼女は言う。


「はい、その時は庭園の木にツタが無数に絡まっていて、そのツタに吊るされるように咲いていて水色で大きな花だったので………」


 頬をポリポリと掻くミリア。ちなみにそれ以来、梅雨の季節になってもヒスイカズラは咲かなくなり、彼女が見る事は無くなった。


「それは分かるな………」


 アンゼシカ(真美)は共感し、腕を組んで頷くのである。確かにいくら綺麗な花でも自分の身体より大きかったりしたら返って不気味である。ちなみにこのヒスイカズラ、毒は確認されていないが食べない方がいいとの事。


「そしてこのヒスイカズラにも、花言葉があるんですよ」と、ミリア。


「花言葉?」


 ヒスイカズラを見て、アンゼシカ(真美)は言う。このインパクトある花に、いったいどんな花言葉なのか………。


「私を忘れないでね。って言う意味です」


「私を忘れないでね………かい?」


 見た目に関して少し意外な答えに、拍子抜けになる私(真美)。意外にもロマンチック?もう少し不気味な花言葉かと思った………。


「生前、彼女から教えてもらったんです」


「生前の彼女?………アンゼシカ・ヨハーソンの事かい?」


 アンゼシカ(真美)は尋ねる。今、ミリアさんの前に私が転生した本人アンゼシカ・ヨハーソンがいるのだが、変な感じだ。ミリアさんでは彼女は死んでいる事になっている。


 ミリアはヒスイカズラを撫で回し、彼女(アンゼシカ)との思い出を振り返る。


「………小さい頃に母が亡くなって間もない時、教育係として来て、当時15歳の彼女は私にとっては憧れでした。強くて優しくて、そして不器用で………初めはお互い緊張していましたが、打ち解けて………」


 ミリアは活々した表情で語り続ける………。その様子を、私(真美)も何故か嬉しくなり眺めるのである。


「父亡き後、彼女は私を追放して………その理由は私を助ける為だと知って………離れ離れになっていても彼女は私の事を変わらず愛していたんだと………だから私は忘れないです、このヒスイカズラのように………」


 ヒスイカズラを指し、ミリアは言った。久しぶりにヒスイカズラを見て、ミリアは思わずこの花言葉を思い出し、同時にアンゼシカ・ヨハーソンを思い出す。


───そして、思い浮かぶ。私を忘れないでと………。





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