EXストーリー31
───後日、場所は王城の謁見の間。
行われているのは就任式。式典に参加しているのはアルフレッド陛下、妻のミリア女王陛下、そして複数名の王国大臣が立ち、カーペットには警備兵達がビシッと整列している。
扉が開き、そこに1人の男性が謁見の間に駆けつけてきた。名はスアレス、かつて反民族支配主義の組織のリーダーとして指揮し、国内でテロを発生させていた。
───ここに来たのは、女王陛下による勅命である。
「かつて、王国にテロを引き起こしてきた身ではありながら、私のような身分をお招き頂き、恐縮します」
スアレスは膝を付いて頭を下げ、敬意を示す。自身はかつてはテログループのリーダー、過去には女王陛下からこれまでの悪業を許しをもらっていが…………それでも自身を許せない為、ここにくる資格は無いからだ。テロによって亡くなった人達の数は計り知れず、地獄行きは確実だ。
「スアレスさん、頭を上げてください」
「しかし…………」
「頭を上げてください。スアレスさん」
ミリアの言葉に、スアレスは頭をゆっくりながら上げる。どんな身分でも女王陛下、国王陛下の言葉は絶対であり、従わなければならない。
ミリアは手を挙げ、侍女を呼び出す。
「これを彼に…………」
侍女に勲章の入って箱を渡し、それをスアレスに渡すように命令する。
そして、侍女はスアレスに勲章を手渡す。
「アナタを、民族政策代表に任命します」
「私に?そのような身分を…………」
スアレスは勲章を見て驚愕する。しかし、受け取れない。
ミリアは説明する。
「王国はこれまで、民族、宗教、歴史や伝統、色々な思想を持った人達を武力により、支配していました。そして私やその仲間達と共に諸悪の根源を打ち倒し、解決しました。しかし、支配を解決した事により、彼らは再び争いを引き起こしています。このままでは過去の民族戦争、まして王国は武力を投入しなければなりません。そこでアナタに頼みがあります」
「頼みですか?」
「アナタが民族政策の代表として、彼らを導いてください。これからは武力ではなく、共に伝統を守り、築き、導いていくリーダーとしてお願いします」
ミリアの言葉に、スアレスは。
「ですが、私はこれまで…………」
「私達も、これまで王国の民族、宗教と伝統を支配し、多くの人達を傷つけてきました。1年前の共同作戦にて、私はアナタ方のグループを見た時、アナタは部下の信頼は厚く、悪い人ではないと感じました…………。改めてお願いします」
ミリアは言う。
───女王陛下の頼みに、スアレスは意を決して答える。
「その依頼、任せて下さい。私が指導者となり、必ず導いていきます」
スアレスはお辞儀する。民族政策代表は国営だが、権限はスアレスに任せている。




