EXストーリー29
(ミリア………さん………)
「ぐへへへ………あんぜしかおねぇさまぁ〜〜〜………」
私(真美)は苦笑いを浮かべ、困惑していた。それはある意味において安心したような………ミリアの見舞いの為に医療テントに顔を出したらこのような状況になっていた。
医療ベッドにて、ミリアは悶えていた。やはり王族らしかぬ寝姿、ヘソを出してボリボと掻いている。
「ダメですよ、アンゼシカお姉さまぁ~〜〜。そのキノコは食べられませんよぉ〜〜〜」
(………いったい、どんな夢を見ているのやら………)
アンゼシカ(真美)は苦笑いを浮かべ、悶えて寝ているミリアを見守るのである。おそらくアンゼシカ・ヨハーソン本人による夢であり、中でイチャイチャしているのだろう。夢の中で彼女がどんなキノコを食べようとしているのが気にはなるけど………。
とりあえず、悪夢でうなされているよりマシ。見ていて面白いけど、アンゼシカ(真美)は立ち去ろうと踵を返す。
「ダメっ!!」
突然だった。アンゼシカ(真美)はミリアの声にビックリし、思わず振り向く。
(ミリアさん?)
アンゼシカ(真美)は思わず駆け寄る。
「アナタは何者?私の大切な人が残した景色を………どうしてアナタが………」
それは寝相にしては、明らかにヤバい。ミリアは身体をくねらせ、良い夢から悪い夢に変わった事により怒気を出すような寝相を引き出ししていた。
「ミリアさんっ!!ミリアさんっ!!」
アンゼシカ(真美)は肩を掴んでミリアの身体を揺らし、彼女の名前を呼びかける。
「おい、どうした?」
同室にいるアレックスも駆けつける。
身体を揺らされるミリアはパチっと瞳を開き、意識を取り戻す。
「………あれ、マスク・ド・a様?」
「よかった………意識を取り戻してくれて」
ほっと安心するアンゼシカ(真美)。
「うなされていたが、何か悪い夢でも見ていたのか?」
アレックスは尋ねる。
アレックスの問いに、ミリアはベッドに座ったまま、先程見た夢の出来事を話すのである。
「はい………夢の中に、黒い髪の女性が現れたんです」
「女性………ですか?」
「それは私が、今は亡きアンゼシカお姉様の夢を見ている時に、彼女は現れました。お姉様の好きな桃色のチューリップ畑を黒いチューリップ畑に変え、青かった空を赤い空に染めて私に言ったんです………アナタを許さないって………」
ミリアは説明する。
許さないか………。するとアレックスは言う。
「ま、その………あまり気にする事は無いと思うぜ。夢を見ると、意味も分からない奴に、そう言われる事がある。所詮は夢だ」
「でも、私は許せません。だって、せっかくのアンゼシカお姉様の夢を、あの訳の分からない女性に潰されたのですから………」
ミリアは怒りを震わせる。何より、アンゼシカ・ヨハーソンの夢を壊された事が最大の怒りだから。




