表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

482/556

EXストーリー27




「アナタは誰ですか?」


 ミリアは怒りを滲ませ、尋ねる。このチューリップはアンゼシカ・ヨハーソンのお気に入りの色であり、自身も好きな色。それを誰かも分からない人物に………ただの当てつけでしかない。


 黒髪の女性は、前髪を隠して微笑み。


「ミリア、そう………レオナルドの子孫。私は会いたかった………アナタに、ね………」


 女性は両手をスッと広げる。


───すると桃色のチューリップ畑は一変した。青い空、白い雲だった空は紅のような空、そしてチューリップの色は桃色から漆黒に染まるのである。赤い空は不吉を表すように広がり、何より黒いチューリップ。それはミリアにとって、アンゼシカ・ヨハーソンが誰よりも嫌っていた花言葉。


 それは死を意味し、血のように広がる茜空がさらに不吉な雰囲気を引き立てる。


「アナタは私だけではなく、先祖のレオナルドの名前を出しました。それはどうして?」


 ミリアは再び質問する。


「それは、いずれ………再び………」


 黒髪の女性がクスクスと微笑み、言うと空間全体に光に包まれた。



───気がつけば、ミリアは気を失っていた。医療テントに運ばれ、ベッドで仰向けになっている。集まっているのはアレックスにデビッド、サウル、ロメロ、そしてアンゼシカ(真美)と小さな翼。(リトルウィング)


「うっ………あれ、私は………」


 ミリアは目を覚ました。


 ミリアさんっ!!

 

 目を覚ましたら、皆は声を響かせる。


「皆さん、私はどうして………確か私は、調査員に報告していて………」


 ミリアはおぼろげな口調で言う。


 調査員によれば、いきなり倒れたらしい。病状はただの過労だそう。このところ火山地帯の調査と、民族問題に揺れる会議など、疲労による原因だと指摘される。


「ミリアさん、少し休みましょう」


 アンゼシカ(真美)は言う。


「しかし………」と、ミリア。


 するとアレックスは松葉杖を持ったまま彼女に歩み寄り、頭にポンっと掌を置く。


「いいから、お前は休め。しっかり体調を整えるのも立派な仕事だ」


 アレックスは言った。


「アレックスさんが、それを言いますか?」


「やかましいっ!!だいたい、俺がこーなったのも、お前がペンダントを間違えたのが原因だからなっ!!」


 デビッドのクスクスとした指摘に、アレックスは言い返すのである。アレックスと、冗談にあしらうデビッドのやり取りに、皆は賑やかに笑うのである。


 そして、ミリアは思い返す………。気を失い、夢の中に出てきた黒髪の女性を。(私はアナタに会いたかった)と………。その声に、聞き覚えあるような、思い出しそうで思い出せない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ