EXストーリー27
「アナタは誰ですか?」
ミリアは怒りを滲ませ、尋ねる。このチューリップはアンゼシカ・ヨハーソンのお気に入りの色であり、自身も好きな色。それを誰かも分からない人物に………ただの当てつけでしかない。
黒髪の女性は、前髪を隠して微笑み。
「ミリア、そう………レオナルドの子孫。私は会いたかった………アナタに、ね………」
女性は両手をスッと広げる。
───すると桃色のチューリップ畑は一変した。青い空、白い雲だった空は紅のような空、そしてチューリップの色は桃色から漆黒に染まるのである。赤い空は不吉を表すように広がり、何より黒いチューリップ。それはミリアにとって、アンゼシカ・ヨハーソンが誰よりも嫌っていた花言葉。
それは死を意味し、血のように広がる茜空がさらに不吉な雰囲気を引き立てる。
「アナタは私だけではなく、先祖のレオナルドの名前を出しました。それはどうして?」
ミリアは再び質問する。
「それは、いずれ………再び………」
黒髪の女性がクスクスと微笑み、言うと空間全体に光に包まれた。
───気がつけば、ミリアは気を失っていた。医療テントに運ばれ、ベッドで仰向けになっている。集まっているのはアレックスにデビッド、サウル、ロメロ、そしてアンゼシカ(真美)と小さな翼。。
「うっ………あれ、私は………」
ミリアは目を覚ました。
ミリアさんっ!!
目を覚ましたら、皆は声を響かせる。
「皆さん、私はどうして………確か私は、調査員に報告していて………」
ミリアはおぼろげな口調で言う。
調査員によれば、いきなり倒れたらしい。病状はただの過労だそう。このところ火山地帯の調査と、民族問題に揺れる会議など、疲労による原因だと指摘される。
「ミリアさん、少し休みましょう」
アンゼシカ(真美)は言う。
「しかし………」と、ミリア。
するとアレックスは松葉杖を持ったまま彼女に歩み寄り、頭にポンっと掌を置く。
「いいから、お前は休め。しっかり体調を整えるのも立派な仕事だ」
アレックスは言った。
「アレックスさんが、それを言いますか?」
「やかましいっ!!だいたい、俺がこーなったのも、お前がペンダントを間違えたのが原因だからなっ!!」
デビッドのクスクスとした指摘に、アレックスは言い返すのである。アレックスと、冗談にあしらうデビッドのやり取りに、皆は賑やかに笑うのである。
そして、ミリアは思い返す………。気を失い、夢の中に出てきた黒髪の女性を。(私はアナタに会いたかった)と………。その声に、聞き覚えあるような、思い出しそうで思い出せない。




