EXストーリー26
───時刻は昼、火山調査から戻ったミリアと仲間達はベースキャンプにて休憩。アレックスは再び医療テントにて搬送され、治療を受ける。
でび………と、おまえ、覚えてろよ………。
ストレッチャーに乗せられ、搬送されていくアレックスはピクピクで手を差しのべ、テントに運ばれていく。
他の皆は、それぞれの時間を過ごす。そしてミリアは、モンスターの生態、環境、地質を担当している調査隊のテントに足を運び、各調査係に報告する。モンスターの種類、火山地帯や来た道である岩道の天候や地質、そして周辺に生息している草花などだ。
「まず、火山地帯における植物の報告になります」
ミリアは説明。火山地帯で拾った適当な草花を調査員に渡し、この地帯における異常環境を引き起こす要因を調べる為、鑑識に回されるのである。草花は蕾と根を生やし、何の植物かは分からない。
次にモンスターの報告、岩道で戦ったのは大怪鳥、鳥竜、オーク。その次は火山地帯のモンスター、火炎鱗の魚獣、鳥竜、火炎の悪霊。
「鳥竜のモンスターが多いですね、彼らはリザードナイトと同じく、荒れ果てた高原や山、湿地帯などによく出没しますが、火山地帯に多く出没するのは少し違和感がありますね………」
調査員は頷き、表情を曇らせる。違和感の理由は鳥竜だ。彼らは火山地帯には稀にしか出没せず、火山地帯を住処としないのが一般的だ。しかし、その稀を何度も引き起こしている事が異常事態である。
しかし、火山地帯で戦闘していても、モンスターの出没が多いだけで、たいした違和感は分からない。
───レオナルド………ミリア………シュバルツ。D様を滅したキサマらは許せない………。
(え、何?………)
耳、そして心の中に聞こえてきたのは声。それは女性の声であり、何処か聞き覚えのある声だった。ミリアはその声に、思わず辺りをキョロキョロと見回す。
すると………。
そこに広がるのは、青い空とチューリップの花畑だった。色は桃色、誠実な愛、純愛、愛の芽生えだ。ヒラヒラと揺れるチューリップ、そしてミリアの視線の先には1本の木が伸びている。
「何ここ?」
フフフ、こっちよ………ミリア。
聞こえるのは女性の声。ミリアは女性の声に導かれるように、木に向かって歩いていく。しかし、ミリアにとって、この桃色のチューリップ畑は、怒りでしかない。
何故なら桃色のチューリップは、自身が誰よりも尊敬してやまないアンゼシカ・ヨハーソンが好きな花であり、厳しくも優しい彼女との思い出が詰まっている。
木の下には、黒髪の女性が立っていた………。




