EXストーリー25
───とりあえず、小さな翼による臭い息により、皆は戦闘不能状態に陥るモンスター達を次々と討伐していく。
「今日はこれくらいでよろしいでしょう………」
デビッドは額から流れる汗を拭き、そう言うのである。何故なら魔導術である∣冷却の外套がそろそろ時間切れになるから。しかしそれについてはもう一度、唱えたら良いだけだが、最大の理由は………。
「デビッド………おまえ、わぞとだろ………」
アレックスは横に転がり、臭い息による毒でピクピク。
わぞと?………。
「まさかアレックスさん、わぞとではないですよ………」
デビッドは笑みで答えるのである。
デビッドの笑みに、皆は困惑するのである………。果たして、彼はアレックスを困らせた為によるわざとなのか、それとも不注意なのか………それは分からない。いや、分からない方がよいのか。
皆は火山地帯から撤収する。何故ならアレックスを再び搬送しなければ、ヤバいから………。
「私が彼を運びますっ」
すると、アンゼシカ(真美)が隠密者の如く地面に着地し、お辞儀する。アレックスは体重が重く、戦闘後の皆で彼を持ち運ぶのはキツイから。
「ええ、お願いします。アンゼ………」
デビッドの言葉に、アンゼシカ(真美)はピキッと瞳を光らせ、その名前を呼ぶな。と、言わんばかりに圧を出す。
デビッドは察する。
「失礼、マスク・ド・a殿」
コホンと、咳き込んで言い直す。
「よろしい」と、アンゼシカ(真美)は頷いて納得する。
そしてアンゼシカ(真美)はアレックスを片手で担ぎ上げる。かつてラスボスであり、悪役令嬢である彼女の腕力はチートである。筋肉質なアレックスを持ち上げるのは容易い。
皆は広い場所から立ち去る………。
───すると、皆の後ろ姿を睨みつけるように現れる黒い影が出現。その影の形は髪の長い女性。
ミリアは(何か)を察し、振り向く。しかし振り向いた先には何もいない。
「どうかしましたか?ミリアさん?」
アレックスを担ぎ上げた状態で、アンゼシカ(真美)は尋ねる。
「いえ、何もありません。さて、帰りましょうっ」と、ミリアは誤魔化すように手を叩き、ニコッと笑う。
アンゼシカ(真美)は「ふむ」と、頷き、ミリアに近づき、ミリアを抱き上げ、お姫様抱っこ。
「ひゃあ!!マスク・ド・a様っ!!」
お姫様抱っこに、ミリアは恥ずかしい表情で頬を赤くし、思わず声を響かせる。
「ミリアさんも抱っこ差し上げて貰いましょう」
アンゼシカ(真美)は言った。右肩にアレックスを担ぎ上げ、左腕にはミリアをお姫様抱っこ状態。
もう一度言うが、ラスボスであり、悪役令嬢のアンゼシカ・ヨハーソンの腕力はチートである。
「マスク・ド・aさまぁ~〜〜〜」
ミリアは瞳にハート。




