第47話 とある市民の話、不穏な空気
───〈冒険者ギルド・酒場〉───
酒場のテーブルに座り、休憩時間を過ごしていた。
次は何の依頼にしようか………と、考える中、とある冒険者の男性は何気なく王国新聞を広げ、口を開く。
その記事に驚愕するのである………。
「うわっ………」
冒険者の男性は新聞に掲載された内容に息を呑む。
王都では、処刑された人数が今年に入ってから200人突破の記事である。ミリアが追放されたのは非公開だが、陛下が交代したのは公式に発表されている。国民の間では王姫のミリアは行方不明、体調不良、挙げ句の果ては暗殺されたなど様々な憶測が飛び交っている。
「これはまた血なまぐさい記事ですね………」
一方、とある市民は冷静に掲載された内容を眺める。現在、王国が実施している民族支配、軍事力の強化。それに反対する者や親民族派などを反逆とみなし、処刑している。
「そう言えばこの所、兵士が町中でよく見かけるな」
「主に東側の方、隣国ノーザンブリア共和国との領有権を争っているみたい。その国境で軍事訓練、兵の配備。もはや戦争準備です」
隣同士の市民は不穏な様子で腕を組み、会話。
「先代の国王ですらやらなかった東側との領有権争い、あと徴兵制の検討もしている噂もあるよな………」
★★★★★
ここ最近、町中には王国兵が多く行き交っている。東部地域には軍隊を配備し、監視体制も強化。そして反政府派の人間の取締りも強化している。
例えば酒場で王国をコソコソと批判する者、民族文化の主張や宗教の布教活動をした者、戦争準備に抗議活動する者達は強制連行され、収容所に幽閉される。
────王国軍秘密警察だッ!!
昼の酒場に怒号が響き渡り、ドアを強く開けて入って来たのは3名の王国兵。
何だ何だ………と、酒場にいる人達はピリピリとした緊張感が行き渡る。兵士達はテーブルに腰掛けて食事中の男性中年市民の所まで重い足音で駆けつけ、威圧感のある声で………。
「貴様、コソコソと王国批判をしたなっ。それだけでなく民族文化を広め、王国に対する反乱分子とみなし、逮捕するッ!!」
「ふざけるなッ、民族の伝統や文化を主張して何が悪いッ!!何でそんな事で逮捕されなくちゃいけないッ!!」
兵士達に手錠で拘束してくる男性中年市民はガタガタと暴れて反発し、激昂した。男性の肌色は褐色で言葉遣いも他の市民とは違い、少しナマリのある口調である。
「暴れるなッ。王国に仇名す蛮族めっ!!」
兵士達は男性を強い力で取り押さえ、強制連行した。その後は知らない方がいい末路が待っている。
読んで頂きありがとうございます。もし気に入ればブックマーク、評価ポイント、感想をお願いいたします。




