EXストーリー23
───火山の中は外とは別世界である。
火山洞窟の中は硬まった溶岩で形成された黒い岩がゴツゴツと広がり、宝石のような結晶が地面を突き出し、輝きを放っている。そして鍾乳石から吹き出す蒸気、滝のようにドロドロと流れる溶岩。
熱対性の虫が壁や天井をカサカサと這い、岩盤の影に潜り込むのである。
メリットは未確認の素材に出会えるかもしれない…………デメリットは未確認のモンスターも生息している為、何が出てくるか分からない。
ミリア達は火山洞窟の道を歩いていた。火山の中の気温は灼熱、全身からはポタポタと汗が滴り、侵入者の体力を奪っていく…………かと思っていたが、あらかじめデビッドが…………。
「冷却っ」
火口入口前では、デビッドが皆に熱無効の魔導術を唱えており、大丈夫である。
ちょんちょん…………。
「へんなはなぁ~~~」
その見た目は、紫色のつぼみ。火口洞窟に生えている花を、小さな翼は指で突いている。ちなみに彼女は飛竜であるから熱は平気だ。
「小さな翼、変なモンを食べんなよっ」
と、彼女の保護者扱いのアレックスは告げる。
「はい、アレックスさん」
デビッドは笑顔を浮かべ、銀色の傘をした謎のキノコを差しだす。
「何だコレは?」
アレックスは呆れるように尋ねる。
「はい、これは食べたら男女を見境なく欲情してしまうキノコです。堅物のアレックスさんに、是非っ」
「んなもん、渡すんじゃねっ」
アレックスはツッコミ、そのキノコをペチンと払い退ける。
「とりあえず、新しい手作り爆弾を作る素材に使えそうだ…………」
「サウル殿、こちらの鉱石はいかがでしょうか?」
ロメロが差し出された鉱石は、クリスタルのように透き通っており、高品質。
「お、サンキュー」と、サウルは受け取る。錬金屋に行けば、さらに威力の高い手作り爆弾が期待出来る。
サウルとロメロ(何故かパンツ一丁姿)は柱と化した岩盤や鍾乳石に生えている怪しい色をしたキノコや植物を採集し、バックに入れていく…………。
(ちなみに私も、熱耐性があるからどんな場所に行っても平気だ…………)
ミリア達から見て左斜め上、数十メートル上からアンゼシカ(真美)はピースサインし、岩盤のすき間に身を潜め、皆のサポート。ま、ミリアにはバレているかもしれないが…………。
───れ、お…なる…………ど。み…………あ…………みあ、しゅば…………。
(何、この気配は?)
アンゼシカ(真美)は思わず反応し、辺りをキョロキョロと眺める。何故なら声が聞こえた気がしたからだ。うなじから背中を掛けて冷たい水滴を垂らされたような感覚だ。




