EXストーリー19
───その夜、テントの中にてミリアは椅子に腰掛ける。そして机の上に、水晶を置く。水晶は魔力を宿しており、暗黒色の輝きを発している。
ミリアは水晶に手を掲げ、(水晶よ、かの場所に繋げよ)と唱える。水晶は光出し、魔導映像が会議テーブルの上に映し出される。映し出された場所はクロフォード王国の会議室、すると。
おお、繋いだぞ。と、映像の中心には王国大臣の人達がどよめきの声。
「おお、我が妻よっ」
どよめく大臣の中には、ミリアの旦那で国王陛下のアルフレッドが近距離でグイッと見つめ、存在を確認するように手を振る。
「それでは、定例議会を始めます」
ミリアは真剣な表情で言う。
(この世界でも、今流行りのリモート会議をするんだ………)
それはミリアの傍、アンゼシカ(真美)は腕を組んで壁にもたれ掛け、その光景に驚くのである。何故なら過去、遠隔会議は生きていた頃、世界中で発生した某新型感染症ウィルスにより出来たイメージだった。
会議の内容は主に民族、文化、宗教の問題だ。クロフォード王国は多民族、多文化、多宗教主義の人達が多く、様々な文化遺産が織り成す国であり、それを見る為に国内外からは観光客が訪れ、賑わっている。ちなみに国内の経済は安定しており、これまで通りの政策、制度、法案でいくらしい。
すると、ある問題が議題に上がる。
「民族同士の対立ですか………」
ミリアは表情が渋くなる。
「はい、あくまでも少数の宗教グループ同士でございます。対立の訳は、互いの思想に双方の理念に批判的な内容が含まれていたからとなります」
すると他の大臣は挙手し、発言。
「それだけではありません、宗教だけでなく、民族同士の問題もあります。対立の理由は互いの文化で、男性優位文化の民族と多様性文化の民族による差別です」
他にも、色々な発言が出ていた。利益の問題、思想の問題、歴史の問題、議論に上げたらキリがない。しかし、対立が発生しているのが現状である。
他の大臣達は次々と発言。
「このままでは、国内に再び民族対立が生まれるのが時間の問題だ」
「もし、対立が激化すれば軍の介入もやむを得なくなるのではないか?」
これも多民族、多文化、多宗教国家の痛い所であり、差別や妬み、行き違いを生み、対立が出来てしまう。だが、これまで多くの血を流した民族支配政策が、この対立を封じ込めていたのも皮肉である………。しかしミリアは首を横に振る。
「軍の介入は、再び民族支配の時代に逆戻りです。まず、宗教や文化、民族対立に関する法案を作ります」
これにより反民族対立法が成立。それは互いの思想を尊重し、対立の禁止とする法案だ。




