EXストーリー16
───小さい頃の私は、ちょっぴり人見知りな性格だ。同年代の人達相手、まして人前半(両親は除く)と話をするのが苦手である。
父は国王陛下、母は女王陛下。2人は国民に寄り添う国政スタイルで国を導き、諸外国と上手く渡り合っている。いつか私も、そんな凄い両親の後を引き継ぎ、人々を導いていく運命だ。
部屋の机に腰掛け、窓を眺める私は、そんな未来を思い浮かべる。
(私には、父や母のように出来るのかな?)
不安になる私。すると侍女が入室し、和やかな笑みでお辞儀。
「ミリア姫様、アンゼシカ・ヨハーソン様がいらっしゃいました」
「アンゼシカお姉さまっ」
侍女の言葉に、ミリアは瞳をキラキラ輝かせ、机から立ち上がる。私は10歳。そんな私には好きな人がいる。
すると侍女が退室した後、部屋の扉が再び開かれる。
「ミリア様、ただいま戻りました」
女性は微笑む。部屋に入ってきたのは赤髪ロング、泣きホクロ、マントを広げ、そして透き通るような肌をした女性騎士だ。
私はダッシュする。
「アンゼシカお姉様っ」
私は抱きつく。タックルするように。
「良いタックルです、ミリア様」
アンゼシカはミリアの頭を猫のように撫でる。アンゼシカに撫でられた事により、ミリアは(エヘヘへ…………)と、頬を赤くして嬉しい笑顔。
そしてアンゼシカとミリアはテーブルに座り、チェス。
「チェックメイトです、ミリア様」
アンゼシカはキングの駒を奪取。
「やっぱり強い、どうやったらお姉様に勝てるんだろう?」
ミリアは腕を組み、悩む。すると、アンゼシカは言う。
「いえ、ミリア様はチェックの腕、だいぶ上がりましたよ。手加減をしてしまうと、かえって失礼だと思いますかと…………」
アンゼシカはウンウンと頷き、褒める。お世辞ではなく本当の話であり、何度も窮地に陥り、その度に知恵を絞り出した。
「なら、もう一度っ」
「受けて立ちますっ」
2人は再度、チェス。
───しかし、アンゼシカの勝利に終わる。
そしてチェスを終えた後、2人は城の庭園の花畑を歩いていた。咲いているのは桃色のチューリップの花畑。
「やはり、花は良い。この季節ではチューリップが先頃です。ミリア様はチューリップの花言葉を知っていますか?」
アンゼシカは尋ねる。
「はい、思いやり。ですね」
「少し惜しいです。今、咲いているのはピンクのチューリップです。花言葉は誠実の愛、私はミリアを、このピンクのチューリップのように、愛しています」
アンゼシカは3本の桃色のチューリップを引き抜き、ミリアに渡す。ちなみに3本を渡せば愛しているの意味だ。




