EXストーリー15
───その頃、ミリアとアンゼシカ(真美)は一旦、火山地帯を抜け、とある墓碑に手を合わせ、喪に服していた。
場所は王都北区にある墓地エリア。周囲には手入れされた木で囲まれ、落ち着いた雰囲気に包まれ、まるで庭園のようだ。清潔かつ、気品に整えられた墓碑がズラリと並び、刻まれているのは主に王族に仕え、殉した者達だ。そしてその頂きに位置する墓碑には、ある女性が刻まれていた。
それは墓地エリア全体を眺められるほどの高い場所にあり、まるで指導者のように。
───アンゼシカ・ヨハーソン
ここに眠る。
「付き合ってください、ありがとうございます」
ミリアは言った。
「ミリアさん、彼女は………」
アンゼシカ(真美)は言う。するとミリアは、少し複雑な表情を浮かべ、口を開くのである。
「………当時、女王陛下に就任した私を追放し、クロフォード王国の代表をしていた方です。死体は入ってませんけど」
ミリアは言った。
するとアンゼシカ(真美)は墓を見て言う。
「しかし彼女は、民族派と反対派、そして国民をさらに支配し、他国と戦争を引き起こそうとした独裁者だって………」
「確かに、彼女は多くの罪の無い人達を殺害した大罪人であり、悪魔です………。それでも、彼女は私の小さい頃の教育係であり、色々な事を教えてくれた恩人です」
ミリアは微笑み、言うのである。彼女は母亡き後、当時は一等兵だったアンゼシカ・ヨハーソンが教育係に任命され、その関係性は年の離れた姉妹のようであり、師匠と弟子だ。
ミリアの微笑みに、アンゼシカ(真美)は思わずクスクスと笑う。
「どうかしましたか?」
「君は、アンゼシカ・ヨハーソンの話になると、活々に笑うから。好きなんだなって………」
アンゼシカ(真美)は言った。自分の墓の前で、複雑な気持ちになる。
「大好きです。そして感謝しています、私を城から追放したのは、私を助ける為だって………」
それはシュバルツ家が子孫達が代々と引き継がれる封印された悪魔、Diablosから救う為であり、自身が王座に歴任すれば悪魔の思想は引き継がれ、ミリアから解放させる為だ。
───そして、あの異変での戦いの中、彼女の真実を知り、思い出す。
ミリア様には血は似合わない。もし、彼女がクーデターを引き起こし、私に刃を突き立てるようであれば、私は喜んで命を捧げるのみだ………。
「ミリアさんっ」
思い出すミリアは涙を流し、思わずアンゼシカ(真美)はビックリ。
「アンゼシカお姉様は、変わっていなかったんだって………私、お姉様の気持ちに気づかず………」
「ミリアさん」
アンゼシカ(真美)はミリアを抱き締め、落ち着かせる。
ミリアがマスク・ド・aを連れて来たのは、ここに来る度に泣いてしまうから………。




