EXストーリー14
───その頃、医療テントの中ではストレッチャーに横たわるアレックスはゆっくりと瞳を開く。今の体調を例えたら、それは固く結ばれた紐を解いていくように………。先程、麻痺と毒、混乱に暗闇状態で搬送され、命の危機に迫っていた。
アレックスは上体を起こし、おぼろ気な様子で辺りを眺める。
「気分はどうですか?アレックスさん?」
デビッドはニコッと尋ねる。
「ま、楽にはなったよ。身体の痺れは無いし、身体の熱が引いたから大丈夫だ」
アレックスは両手をギュっと握り、答えた。
「それは何よりです。さすが、私のアレックスさんです」
デビッドはニコッと笑い、言ってくる。デビッドの言葉に、アレックスは呆れた様子で。
「何が、私のアレックスさんだ………」
アレックスはムスッとし、デビッドから視線を反らす。何故なら死にかけたのは自分だけ、他はピンピンしているからだ。
「そんなに怒らないで下さいよ、そんなアレックスさんに、プレゼントです」
デビッドはポケットから何かを取り出す。
「プレゼントだ?」
「はい、状態異常無効のペンダントです」
「お、くれるのか?」
アレックスは、デビッドから差し出されるペンダントに手を伸ばす。しかし、デビッドは持っている状態異常無効のペンダントを反らし、アレックスに与えない。
「誰がタダって言いました?」
「って、くれるんじゃないのかよっ」
アレックスはツッコミを入れる。
デビッドはニコッと微笑み、手を差し出す。
「当たり前じゃないですか?状態異常無効のアクセサリーは高額なんですよ。そうですね、20万SVになります」
と、金額を提示。
「持ってねぇよっ!!」
アレックスはデビッドの差し出される手を、パチンっと音を響かせ、叩くのである。
「冗談ですよ、差し出しますよ。だって、仲間じゃないですか?」
「おお、ありがとう」
デビッドから差し出される状態異常無効のペンダントを、アレックスは受け取る。
「次は………アレックスさんが早く元気になれるように食事を持って来ました」
机にドンっと置かれたのは、骨付きのこんがり肉。湯気が登り、大変おいしそうだ。
「いや、医師からは初め、胃に優しい食べ物を………」
「アレックスさん、たくさん食べないと、元気になれませんよ」
次に、ドンっと置かれたのはまたしても骨付きのこんがり肉。
「食えるかっ、こんな状態でこんなの食べたら逆に、身体に悪いわっ!!」
アレックスは言った。
「ほら、遠慮しない」
「あがががが………」
デビッドに笑顔で取り押さえられ、アレックスは無理やり骨付きのこんがり肉を口に放り込まれる。




